Home
Shane旅日記
鉄道旅行へのいざない



黒部峡谷鉄道

The Kurobe Gorge Railway Co., LTD.



乗車日:Nov. 20, 2007







黒部峡谷鉄道は宇奈月から黒部峡谷に沿い、
欅平に至る20.1kmの鉄道です。

この路線は黒部川沿いの電源開発を目的に
1926年(昭和2年)に宇奈月 - 猫又間を
日本電力が開通させたのが始まりです。

その後、1937年に欅平まで開通しています。
しばらくは電源開発の関係者のみが
乗車出来る鉄道だったのですが、
一般客の便乗が認められるようになり、
1953年(昭和28年)11月26日に旅客鉄道として
運行を開始しています。

以前は関西電力が所有する鉄道でしたが
1971年(昭和46年)に黒部峡谷鉄道として
スタートしています。

一般客を便乗扱いで乗せていた際には
切符の裏側に「命の保障はありません」
との注意書きがあった程、険しい峡谷を走ります。

軌道は762mmのナローゲージです。
この線路幅の鉄道は、三重県の近畿日本鉄道の内部線、
八王子線そして三岐鉄道北勢線のみとなっています。
また、黒部川の峡谷は毎年、雪崩の発生が高く、
毎年12月から3月末までは営業休止となります。
こうした季節営業の鉄道路線も珍しいと思います。



そんな黒部峡谷鉄道の様子を
紹介していこうと思います。



宇奈月駅にて
(at Unaduki Station)
NEW ! Dec. 05, '08

宇奈月 - 黒薙
(Unaduki - Kuronagi)
Dec. 05, '08

黒薙 - 鐘釣
(Kuronagi - Kanetsuri)
Dec. 08, 08

鐘釣 - 欅平
(Tsurikane - Keyakidaira)
NEW ! Dec. 09, '08



民鉄編に戻る


Home
Shane旅日記
鉄道旅行へのいざない






宇奈月駅にて
at Unaduki Station



富山からの富山地方電鉄・本線の
普通電車で宇奈月温泉に到着し、
黒部峡谷鉄道の宇奈月駅に向かいました。



さすがに温泉地の終着駅だけあって
駅舎を出ると、足湯もありました。

富山地方鉄道本線の乗車記は
こちらです。

黒部峡谷鉄道の宇奈月駅とは
200m程離れているので、
温泉街を抜けて歩きます。

左手に黒部峡谷鉄道のヤードと留置してある
トコッロ列車を見ることが出来ました。



黒部峡谷鉄道は軌道の幅が762mmの狭軌鉄道なので
車両も機関車もずいぶん小ぶりに見えます。

青く晴れ渡った空に映える
宇奈月駅の駅名標です。



こちらは宇奈月駅の駅舎の様子です。



宇奈月では一時間程の待ち時間があったので、
駅前の黒部川電気記念館に入りて
10時43分の発車時刻を待ちました。

宇奈月温泉の様子は こちらです。



この黒部峡谷鉄道は多くの観光客が押し寄せ、
いつも混み合うと聞いていました。

それで紅葉の見頃も終わりかけた
11月半ば過ぎの平日に出かけたのですが、
狙い通り、団体旅行客はおらず、
しかも最後尾の車両が指定されました。

無骨な黒部峡谷鉄道の機関車。



そして可愛らしいトロッコ列車が
その後ろに連結されています。
客車は確か全部で6両程繋いでいました。

この車両は窓付きの特別車両です。

前日は雪でこの日も気温が下がっていましたが
ガラガラだったので、列車の最後尾に陣取って、
窓を開けることが出来ました。

さて、いよいよ欅平までの20.1km、
1時間20分の旅の始まりです。



黒部峡谷鉄道のTOPに戻る




宇奈月 - 黒薙
(Unaduki - Kuronagi)


宇奈月を発車した黒部峡谷鉄道の列車は
小さなトンネルを抜けるとすぐに黒部川を渡ります。



この宇奈月で、既に深く切り刻まれた
深い渓谷となっています。

写真に見える赤い橋は遊歩道用の
橋ですが、黒部峡谷鉄道の線路が
付け替えられた路線跡ということです。

黒部川を渡って過すぐ車窓右手に
宇奈月ダムが見えています。



線路脇には雪が積もっていて
先日降った雪の多さがわかります。

客車の最後尾の眺めです。



去り行くレールの眺めはいつもながらいいものですが、
この黒部峡谷鉄道の場合には左右に展開する
雄大な光景に目を奪われ、殆ど去り行くレールの
景色を眺める余裕はありませんでした。


車窓は宇奈月ダムのダム湖の景色になりました。



中世のヨーロッパのお城のような建物が見えてきました。
新柳河原発電所の建物です。

黒部川というと、立山黒部アルペンルート上にある
黒部第四ダム(黒四ダム)が有名ですが、
いくつもこうしたダムを築き、水力発電に
活用されているようです。

列車は柳橋駅に到着です。
時刻表にはない駅で、
電力開発に従事する関係者だけが
乗り降り出来る駅です。

黒部峡谷鉄道にはこうした駅が、
この柳橋駅を含めて6駅あります。



宇奈月へ向かう列車と交換しました。
白いに赤いラインのリラックスカーの編成です。

この柳橋を過ぎると再び、宇奈月ダムの
ダム湖に沿ってゆっくり走っていきます。

対岸とつなぐ細い吊橋を見かけました。



この吊橋は、なんと猿が対岸とを
行き来出来る様に、と作られたようです。

黒部川水系の電源開発は、
日本の高度成長期を支えた
電力開発だったのですが、
こうした自然への配慮は嬉しいです。

岩肌に小さく仏像が見えてきました。



仏石と飛ばれる、仏像に似た天然の石なのだそうです。
赤い前掛けをかけてもらって、
本当の仏像のようです。

それにしても黒部川の両岸の岩は険しく、
そして山肌は雪で白くなってきました。

列車は森石駅に到着です。



乗車した11月20日は紅葉の盛りは過ぎ、
雪も積もって、冬の景観なのですが、
所々、綺麗な紅葉も目に付きました。



谷はいよいよ険しく、深くなっていきます。



やがて、列車は黒薙駅に着きました。
ここは一般客も乗降可能な駅です。



この先、支流の黒薙川沿いに、
宇奈月温泉の源泉にもなっている
温泉もあるようです。

数人の登山家のような服装の人が
何人かホームに佇んでいました。



黒部峡谷鉄道のTOPに戻る




黒薙 - 鐘釣
(Unaduki - Kuronagi)


黒薙駅からは、黒薙川に沿い、
黒薙第二発電所へと向かう
支線が出ているのですが、
乗車した際には、黒薙を発車して
すぐに渡る後曳橋(あとひきはし)の景観に
気をとられて気付いてはいませんでした。

黒薙駅を発車して右にカーブを切ると
すぐに後曳橋にさしかかります。



後曳橋を渡ると、すぐにトンネルに
入るのが見えています。

この景色はスイスを走る氷河急行の
クール(Chur)からサンモリッツ(St. Moritz)間にある
ランドヴァッサー橋の景観を彷彿とさせます。

氷河急行の乗車記はこちらです。

黒薙川に架かる高さ60mの後曳橋。
切り立った峡谷の様子は圧巻でした。



最後尾から振り返ってみた
後曳橋の様子です。



この谷はあまり険しく、登山者も
後ずさりした事からこの名がついたそうです。

しばらく走った笹平駅で再び
宇奈月行きの列車と交換です。

交換した列車の最後尾には、
可愛らしい貨物車両が連結されていました。



乗車した11月20日は既にハイシーズンも過ぎ
運転本数は少なくなっているのですが、
この路線には時刻表に記載されている列車以外に
関西電力関係者専用の列車も思った以上に
本数が多く運行されているようでした。

しばらく走ると、対岸の岩壁に一筋の
細い滝が見えてきました。



黒部川の峡谷もいよいよ深く、
わずかに残った紅葉した木々が
彩を添えています。



出平駅でまたも宇奈月行きの列車と交換です。



このあたりの岩肌は、とても険しく
黒ずんだ岩肌に雪が残り、
その険しさが一層目立っているようです。



水墨画のような光景です。
このあたりには出六峰と呼ばれる
尾根があるそうですが、この岩山が
そうなのでしょうか。


険しかった谷が浅くなり、
河原も広くなると黒部川第二発電所の
建物が現われて来ました。



発電所の背後の急な崖が、
ねずみ返しの岩壁と呼ばれる
高さ200mの岩肌です。

険しい峡谷の奥にこうした鉄筋コンクリートの
建物が建っているのを見ると
どうやって資材を運んだのかと
不思議になりますが、それこそ
この黒部峡谷鉄道が担っていたことでしょう。



広い構内の猫又駅に停車しました。
ここでも対向列車との交換です。

しばらく停車していたので、
殉職者慰霊碑に気がつきました。



電源開発や鉄道建設で亡くなられた方々の
犠牲の上で、こうして列車に乗って
移り行く絶景を楽しんでいるのかと思うと、
亡くなられた方々へのご冥福を
祈らずにはいられませんでした。

猫又を出ると再び黒部の峡谷は深く
険しくなっていきます。



すこし遠くに見える白く輝く頂は
サンナビキ山でしょうか?

いよいよ立山連峰の山が
車窓からも見えてきたようです。

黒部川を渡ると、鐘釣駅に到着です。



鐘釣駅の標高は443m。
宇奈月駅の標高が224mなので、
既に200m以上、登ってきています。

対向列車の待ち合わせでしばらく停まっていたので、
乗ってきた列車を最後尾から写してみました。

この鐘釣駅を出ると、いよいよ
欅平への最終区間になります。



黒部峡谷鉄道のTOPに戻る




鐘釣 - 欅平
(Tsurikane - Keyakidaira)


鐘釣を発車すると、谷いよいよ深くなり
トンネル区間が増えてきます。

トンネルとトンネルの間から
見る切り立った峡谷です。



時折色づいた木々が車窓に現れます。
紅葉の盛りの時期はさぞ素晴らしい
光景が展開している事でしょう。



宇奈月を出るときには覗いていた青空も
いつの間にか消え、窓を開けると、
冷たい風が入り込んできます。

黒部川対岸の切り立った山。



地図と照らしあわせてみると
百貫山と思います。

山の上はガスがかかった様になっています。

周囲の雪の量も多くなり、
雪だるまが列車を出迎えていました。



そして最後の中間駅、
小屋平駅に停車しました。



ホームの上には雪が積もっていて、
真冬の景色のようです。
ホームの向こう側には
小屋平ダムも見えています。

小屋平からもトンネルとトンネルの間に
険しい峡谷が見られました。



そして、 宇奈月から1時間18分、
いよいよ欅平駅に到着しました。



山間の終着駅ですが、多くの観光客が
訪れる為か立派な駅舎が建っていました。



欅平の標高は499mです。
周囲には人家も見当たりませんが、
欅平温泉と祖母谷温泉が徒歩圏内にあります。

欅平駅から眺めた奥鐘橋の様子です。



この橋を渡り支流の祖母谷川に
沿って歩いていくと祖母谷温泉があり、
また黒部川の下流には欅平温泉と猿飛峡があり
ハイキングコースも設定されています。

折角、欅平まで来たので、
駅周辺を歩こうと思っていたのですが、
数日前の雪で駅周辺の道路は閉鎖され、
先ほど駅から見た奥鐘橋も通行止めでした。

外気も寒く、駅で食事して引き返すことにしました。



宇奈月温泉に戻る上り列車の様子です。


ところで、欅平駅は黒部峡谷鉄道の終着駅なのですが、
実はこの欅平から先にもレールが続いています。



貨車毎エレベーターに乗せたり、
インクラインというケーブルカーで繋いだりと
物凄い工夫をしながら黒部ダムまで
レールがつながっています。

一般営業はしていませんが、
関西電力が見学会ということで
抽選の上、参加出来るようなので、
いつの日にかそのルートに
乗ってみようと思っています。



黒部峡谷鉄道のTOPに戻る

民鉄編に戻る


Home
Shane旅日記
鉄道旅行へのいざない