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JR千歳線は、室蘭本線の沼ノ端から北上し
函館本線の白石へ至る56.6kmの路線です。
途中の南千歳から新千歳空港に至る
2.6kmの支線もあります。
白石は札幌から二駅東の駅で、
沼ノ端は苫小牧の隣駅です。
千歳線が開通したのは1926年(大正15年)。
元々は札幌と苫小牧を結ぶ機能を果たしていましたが、
1963年(昭和48年) 10月のいわゆる"ヨンサントウ"
ダイヤ改正で、函館 - 札幌間の特急が、
長万部から小樽経由の函館本線ではなく
室蘭本線・千歳線経由で運行されて以来、
千歳線は札幌へのメインルートになりました。
1980年には千歳空港駅が開業すると、
札幌と空港間のメインアクセスルートにもなります。
更に1981年(昭和56年)に石勝線が開通すると
札幌から帯広や釧路に向かう特急列車も、
千歳空港(現・南千歳)迄は千歳線を走るようになり、
千歳線の重要性は一層増していきました。
1992年(平成4年)に新千歳空港ターミナルが完成すると、
南千歳(旧・千歳空港)から新千歳空港までの
2.6kmの区間が開業しています。
2008年7月と2009年12月に千歳線に
乗車した際の様子を紹介しようと思います。
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札幌 - 新札幌
(Sapporo - Shin Sapporo)
千歳線の戸籍上の始点は、
札幌から二つ駅目の白石ですが、
すべての列車は札幌駅から発着しています。
久しぶりに北海道を訪れた2008年7月。
札幌での仕事を切り上げ、東京に向かう際に
札幌から快速「エアポート」に乗車しました。
2003年に開業したJRタワーが聳える札幌駅。
札幌駅の様子はこちらです。
北海道を何度も鉄道旅行していた
1980年代前半からは見違えるような
発展振りでした。
ちなみに、2008年度のJR札幌駅の
一日の乗車数は88,000人にも及んでいます。
札幌から新千歳空港へは
快速「エアポート」で向かいました。
「エアポート」は、札幌と新千歳空港間を
所要時間30分、15分間隔で結んでいます。
毎時4本のうち一本は旭川から札幌への
特急「スーパーカムイ」も乗り入れています。
札幌駅の5番線を発車した列車は、
駅構内の複雑なポイントを渡って行きます。
札幌駅にある、1番線から10番線までの
10本の線路が集まり、その中から4本の
線路に集約されていきました。
札幌からは複々線の線路が続きました。
真ん中の二つが千歳線の列車、その外側に
函館本線の列車が走るようになっています。
苗穂、白石とあっという間に通過していきました。
線路が何本も枝分けれするようになり、
平和駅を通過しました。
平和駅は、複々線の中央に
島式のホームが一つあるだけです。
複々線の中央を走る千歳線の列車は
平和駅に停車する事が出来ますが、
函館本線は、すぐ隣を走っているのに
ホームはなく停車する事が出来ません。
平和を過ぎると、複々線の中央の千歳線が
高架となり、函館本線の上り線を跨いで行きました。
戸籍上は、白石駅が函館本線と千歳線との分岐駅ですが、
実際の分岐地点は、平和駅東側のこの地点です。
この分岐地点までは、貨物駅もあり、
線路が枝分かれし、収斂する様子を
列車の前面から眺めるのがとても楽しい区間でした。
函館本線と分岐すると、
すぐに新札幌駅に到着しました。
新札幌駅は、北広島 - 苗穂間のルートが付け替えられた
1973年(昭和48年)に開業した比較的新しい駅です。
駅の両脇にはビルが建ち、地下鉄東西線も乗り入れ
札幌の東のターミナル駅になっています。
札幌市交通局東西線の乗車記はこちらです。
1982年(昭和57年)に地下鉄東西線が新さっぽろまで
延長開業した事もあり、駅周辺が発達したのでしょうか。
一日の乗車客は13,000人にのぼり、JR北海道で
3番目に乗車客の多い駅になっています。
ホームからは高層ビルも見えていました。
新札幌 - 南千歳
(Shin Sapporo - Minami Chitose)
千歳線の新札幌から南の区間は、
2009年12月に札幌を訪れた際にも
乗車しました。
この時は特急「スーパー北斗」に乗りました。
青い精悍な顔つきのディーゼル車です。
振り子機能付きで130km/hの
最高速度で走る俊足ランナーです。
先頭車両は、貫通路の上に運転台のある構造ですが、
貫通路の一番前に窓が付いていて、ここに立つと
前面の展望を独り占めする事が出来ます。
新札幌を発車すると、それまでの線路が輻輳し、
ビルが建ち並ぶ景色から一変し、
白樺の雑木林が続くようになりました。
丘陵地の谷間に沿って走るうちに
複線の線路の両脇に待避線が
設けられていました。
西の里信号場です。
周囲には家もなく、駅舎もなく
ただ、4本の線路が並んでいるのも
日本の鉄道ではなかなか見られない光景です。
やがて、景色が広がり、
再び街並みが見えてきました。
北広島市の市街地です。
街並みの向こう、遥か遠くに
雪を抱いた山脈が見えていました。
北広島を通過すると、
平原が広がるようになりました。
広大な農地が車窓から眺められます。
再び住宅地が広がり、恵庭を過ぎ、
いくつか駅を過ぎると、
高架へと駆け上っていきました。
最高速度130km/hで走る「スーパー北斗」の
先頭車からは景色が目まぐるしく変わります。
札幌方面に向かう快速「エアポート」とすれ違いました。
そして、特急「スーパー北斗」は
高架の千歳駅を通過していきます。
高架の千歳駅を通過する際に
眺めた千歳の街の様子です。
千歳駅からも遠くに雪を抱いた
山々が見えていました。
千歳を過ぎ、しばらく走ると
南千歳に到着しました。
この駅は1980年(昭和55年)に千歳空港駅として
国鉄初の空港接続駅として開業しました。
ホームの上に駅舎がある橋上駅で、
駅舎から旧千歳空港ターミナルへの
連絡橋が続いていました。
1992年(平成4年)に新千歳空港が開港すると、
新千歳空港ターミナルまでの新線が開業しましたが、
旧千歳空港駅は南千歳と改称し、空港や
石勝線の特急列車と、苫小牧や室蘭との
連絡駅の機能を果たしています。
南千歳 - 苫小牧
(Minami Chitose - Tomakomai)
特急「スーパー北斗」は南千歳を出て、
一路、苫小牧を目指しました。
南千歳駅を発車直後の前面展望です。
右に分岐していく線路は、石勝線や
新千歳空港に向かう線路へと続いています。
新千歳空港に向かう線路が地下へと消えていくと
車窓右手に新千歳空港のターミナルが見えてきました。
翼を休めている航空機が何機も見えていました。
新千歳空港が視界から消えると
再び白樺林の丘陵地帯となり、その後、
広大な景色が広がるようになりました。
畑の畝が真っ直ぐに伸び、
起伏する大地の模様を映し出しています。
その大地の向こうに、再び
雪を抱いた山脈が見えています。
日高山脈の山々でしょうか。
遠くに連なる雪山が北海道の広さを
より一層感じさせてくれます。
車窓には原野が広がるようになり、
千歳線の下り線が原野の向こうに消えて行くと、
岩見沢からの室蘭本線をオーバークロスしました。
千歳線はこの室蘭本線と合流するのですが
千歳線の上り線は、室蘭本線から
少し離れたところをしばらく平行して走るので
室蘭本線の線路は原野の向こうに消えて
その姿が見えません。
この室蘭本線と千歳線の規模の大きな線路配置は
いつも胸が躍るような車窓風景です。
原野が途切れると、室蘭本線と
千歳線の下り線が右手から現れます。
線路が合流すると千歳線の起点、
沼ノ端をあっという間に通過しました。
沼ノ端からは、室蘭本線となります。
室蘭本線の乗車記はこちらです。
線路の周囲に住宅が現れ、その中を
線路が一直線に続いています。
沼ノ端から28.736km先にある白老までの区間は
日本で一番長い直線区間として知られています。
やがて、日高本線の線路が左手から寄り添い
住宅が次第に増えて、苫小牧に到着しました。
特急「スーパー北斗」は、新札幌から
60.3kmの距離を33分で駆け抜けました。
評定速度109km/hの素晴らしいスピードでした。
南千歳 - 新千歳空港
(Minami Chitose - Shin Chitose Airport)
南千歳駅は、新千歳空港へと向かう路線と
千歳線や石勝線との分岐駅です。
元々は旧千歳空港への接続駅として開業しましたが、
新千歳空港への路線が開業してからは
苫小牧や室蘭、そして石勝線経由で帯広や
釧路へ向かう乗客の乗換駅として機能しています。
日本の鉄道は左側通行が基本ですが、
快速「エアポート」は二つあるホームのうち
右側のホームに到着します。
Wikipediaより
苫小牧や帯広から新千歳空港に向かう乗客が
ホームを移り変わる事なくスムーズに
乗換えが出来るような配慮です。
発車すると丁度、石勝線の上りの気動車が
南千歳に到着するところでした。
新千歳空港行きの快速「エアポート」は
単線のトンネルに入って行きました。
単線のトンネルを走り、3分ほどで
新千歳空港駅に到着しました。
新千歳空港に停車していた、
旭川行きの快速「エアポート」です。
旭川と新千歳空港を結ぶ快速「エアポート」は
札幌 - 旭川間は特急「スーパーカムイ」として走っているので
精悍な顔つきの特急用車両で運行されています。
新千歳空港の改札口の様子です。
まさに空港に直結していて、
飛行機への乗り換えにとても便利な駅です。
新千歳空港の開港に伴って路線延長した
JR北海道の英断は素晴らしかったと思います。
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