デトロイトとその郊外
Detroit & Suburbs, Michigan






デトロイト(Detroit)は、Michigan州の東端に位置する、
人口約100万人の都会です。

ヘンリー・フォードが初めて大量生産の車を作り出して以来、
デトロイトは自動車産業の総本山のような街です。
以前はアメリカのBig 3がいずれも本社を構えていました。

その昔、Detroitはアメリカでも有数の
美しい街と言われていたそうです。

昔の面影をわずかに残すGrand Circus Park周辺の様子です。




しかし、1960年以降の不況や、自動車業界の不況で、
失業者が街に溢れ、治安の悪化を嫌った人々が、
郊外に逃げ出してしまい廃墟のようになってしました。

Down Townのほんの一角は、高層ビルが立ち並び、
ビジネス街になっていますが、その周辺は廃墟で、
昔美しいと言われた街は今では見る影もありません。
そして、デトロイトはアメリカでも
有数の治安の悪い都市になってしまいました。


デトロイト郊外のFarmington Hillsに、
1996年から2年間ほど住んでいたので、
デトロイトはアメリカの他の都市よりも
馴染みがあるのですが、その治安の悪さ故に
街中にはあまり足を踏み入れた事がありませんでした。

毎年春にデトロイトで開かれるアメリカ自動車技術会(SAE)の
Congressに何度か参加したり、論文発表した事があるのですが、
2008年に久しぶりにその機会があったので、
昔懐かしいデトロイトの街を散策してきました。





デトロイトの中心はGMが本社を構える
Renaissance Centerです。



カナダとの国境を流れるDetroit River沿いに
中央に一番背の高いホテル棟の周囲に
4つのオフィスビルが建ち並んでいます。

そのRenaissance Centerの街とは反対側には
Detroi Riverが流れています。



Detroit RiverはSaint Clair湖から流れ出し
五大湖の一つエリー湖(Lake Erie)に注ぐ川です。
緯度が高く、冬が厳しいDetroit。
以前は真冬にはこのDetroit Riverが
凍結することもあったそうです。

対岸は、カナダのWindsorです。
あまり知られていなですが、Detroitは国境の町です。
しかもアメリカの北に位置しているカナダが
地形の関係で、Detroitの南がカナダです。


Renaissance Centerの近くに建つ小さな教会。



この教会の脇から対岸の
カナダへと向かうトンネルがあります。

国境のトンネルなので入国管理がありますが
簡単にカナダに渡ることが出来ます。


Renaissance Centerの前を東西に走る
広いJefferson Ave.を西に向かって行きます。



広いJefferson Ave.の両側に建つビルを
結ぶ回廊と、それを跨ぐように走る
Detroit People Mover (DPM)の列車です。

Detroit People Moverはデトロイトの中心街を
ループ状に一方通行で一周する4.7kmの路線です。
このdetroit People Moverに乗るのも、
デトロイトの街の様子を知る事が出来ます。

Detroit People Moverの乗車記はこちらです。


しばらく歩くと、デトロイトの中心部を南北に貫く
Woodward Ave.との交差点に出ます。
Hart Plazaという広場があります。

Hart Plazaから眺めたWoodward Ave.の様子です。



この周囲にはオフィスビルが建ち並び
平日には街中を歩いている人も目に付きます。
三角屋根の高層ビルはComerica Towerです。

上の左の写真の中央、小さくて見えにくいですが
交差点の真ん中に大きな拳骨のモニュメントがあります。
そして、交差点を渡ったところに写真右の像がありました。

デトロイトの人気ホッケーチーム、レッド・ウィングスが
スタンレーカップに優勝した際にはこの像も
レッド・ウィングスのユニフォームを着ていました。


ここでWoodward Ave.に沿って、北に向かってみました。
Jeffarson Ave.から1ブロック進んだところで
Detroit Poeple Moverの高架橋をくぐりました。



平日の昼間の時間帯で道を歩いている人が多く、
この時はあまり治安の悪さを感じませんでした。

さらに2ブロック進んだところにある
Kennedy Squareです。



広い交差点の真ん中にモニュメントがありました。

緯度の高いデトロイトでは4月に
雪の降る事もあるのですが、
この日は穏やかに晴れ上がり
気持ちのいい街歩きです。


Kennedy Squareで引き返し、
Jefferson Ave.に戻って
更に西に向かいました。

再びDetroit People Moverが
Jefferson Ave.を跨いで行きました。



ビル街を高架で走るDetroit People Moverです。
NYシカゴ程ではないですが、こうして見ると
デトロイトの中心街の摩天楼も立派に思います。

Jefferson Ave.はここから地下にもぐり、
その先にCobo Centerの建物があります。



写真はDetroit People Moverから写したものです。
このCobo CenterはExhibition Hallで、毎年初春に、
アメリカ自動車技術会(SAE)のCongressが開かれます。

このCobo CenterにはJoe Louisの大きな像があります。



Joe Louisは、1930年代から1940年代にかけて
活躍したアメリカの黒人ボクサーで
ヘビー級で25回の防衛を果たし、
アメリカにおける黒人の地位向上にも
大きな役割を果たしたと言われています。

そのJoe Louisを称え、Cobo Centerの脇には
Joe Louis Arenaが建てられています。



このJoe Louis Arenaはプロホッケーリーグ NHLの
Detroit Red Wingsのホームスタジアムになっています。

このJoe Louis Arenaに一度Redwingsの
試合を見に連れて行ってもらいました。
スピードと体と体のぶつかり合う迫力の物凄さに、
思わず圧倒されてしまいました。

Redwingの試合のある時は、
赤い旗を車に掲げて走っている人や、
Officeにユニホームを着てくる人までいます。


Joe Louis ArenaはDetroit Riverに近いところにあり、
ここから西を眺めると、遠くに大きな橋が見えていました。



この橋はカナダとの国境に架かるAmbassador Bridgeです。

デトロイトの中心街の西の外れがこのあたり。
ここから先は、荒れ果てた地域が広がります。


デトロイトの東側もRenaissance Centerから先は
オフィスビルもなく、街中を歩くような雰囲気にはなれません。



写真はDetroit People Moverから、
Renaissance Centerの東側を眺めた様子です。

Down TownからEast Jefferson通りを車を走らせると、
そして焼き払われた住宅が点在する、
ゴーストタウンが現れます。

こういうところは、昼間に車で走っていても緊張します。
信号が赤になると、思わず交差点に誰もいないことを祈ります。

デトロイトに駐在していた当時、
デトロイト警察の署長さんが日本人向けの新聞の
インタビューに答えていたのですが、
『Down Townへは、高速道路を使うこと、
どうしてもやむを得ない場合のみ、一般道を使うこと。
一般道では、特に夜、交差点で誰かがたむろしていたら、
赤信号では交差点から離れて止まること、
不審な人物が近づいてきたら、
赤信号でも、突っ切って逃げること』
と言っているのを読んで、心底恐ろしくなったものです。

このあたりは、そんな記事が決して脅しで
言っているのではないことを
身に染みて思い知らせてくれます。

でも、行政区画がデトロイトから隣町に変わったとたん、
本当に道一つ隔てて、風景が一変します。
広い区画の大邸宅が広がるのです。
人々は、道路脇の芝生に囲まれた
歩道をジョギングしています。

やがてこのとおりはSt. Clear湖に沿った
風光明媚な所を走るようになります。
広々とした庭に囲まれた屋敷から、
St. Clear湖が見渡せるのです。



このあたりは、住人以外は車を停めることも許されません。
ここの街の人たちは、治安の悪化を防ぐため、
警察にかなりの投資をしている様です。
湖沿いに綺麗な公園があったので、行こうと思ったら、
これも住人専用で、体よく追い返されてしまいました。

富める国アメリカ。
アメリカン・ドリームを体現出来る国。
でも、貧富の差のなんと激しい事でしょうか。
普段の生活ではつい忘れがちになってしまいますが、
アメリカ社会の問題の根の深さを垣間見たような気がしました。

そのDown Town東側のDetroit Riverの中洲のBelle islandです。



川の対岸は、荒廃した地域ですが
ここは島全体が公園のようになっていて
ゆったりと過ごす事が出来ます。

遠くにRenaissance Centerを眺めることが出来ました。




Dearborn
-- Ford Musium & Green Field Velidge --


DearbornはDetroitの西隣の街。
Fordの本社があります。Fordの本社の周りの一角は、
広々とした芝生が広がり、またLitz CarltonやHyatt等の
超高級Hotelや広大なShopping Mallが点在していて、
富める国アメリカの一端を覗かせます。

Fordの創始者Henrry Fordの屋敷も近くにあります。
またアメリカ最大のアラブ移民の街としても知られている様です。

このDearbornにはFord Museumと
Green Field Villedgeがあります。



Ford Museumは自動車だけでなく、
産業革命以降の交通機関・機械・電気製品の展示があり、
この地区では有数の博物館です。

ここの一番の展示物は、やはり何と言っても、
ケネディー大統領が暗殺された時に乗っていた、
リンカーン・コンチィネンタルでしょう。
確か写真を撮った筈なのですが、見つかりません。
見つかったら、UPします。

そのFord Museumの外側に
Green Field Vilegeが広がっています。
広大な敷地に、歴史的な建物が集められています。
いわばアメリカ版明治村です。



広大な園内を蒸気機関車が走っていたり、
農場まであります。
ガラス細工の実演や
印刷を体験出来たりします。

また、色んな催し物があります。
南北戦争の再現イベントや、
Indian Festivalのような日もありました。






Ann Arbor


Ann ArborはDetroitの西30mile程のところにあります。
Michigan Univ.を中心とする大学町で、綺麗な街です。



アメリカでは珍しく街中や、
Michigan Univ.のキャンパスを
のんびりと歩くことが出来ます。
Michigan Univ.には10万人収容出来る
全米一のアメリカン・
フットボール場があります。

秋に入ってColledge Foot Ballのシーズンが始まると、
試合のある日には、Michigan大学の青色に
黄色の旗を掲げる人が沢山います。
このMichigan Univ.とMichigan州の州都Lansingにある
States of Michiganはいわば慶応と早稲田みたいな関係らしく、
両校が試合をする時は、青と緑に分かれて、
Detroitいや、きっとMichigan中大騒ぎです。


ここAnn Arborでは毎年夏にArt Fairが開かれていて、
街全体が絵画・陶器等の屋外即売場となります。

またAnn Arborの郊外、State Parkがあります。
街の東部を流れるHudson川沿いに広がる
綺麗な公園です。

のんびり、自然に囲まれてのんびりするのに最適です。
そして、紅葉がとても綺麗です。



この写真は、Hudson川沿いの公園で撮ったものです。



Restaurant Information

Gandy Dancer

Ann Arborの昔の鉄道の駅舎を使った
シーフード・レストラン。
赤いレンガの建物が非常にシックで気に入っています。
料理もおいしい。お勧めのレストランです。

店内に昔の鉄道の写真がたくさん飾ってあったり、
AMTRAKの列車が目の前を通り過ぎると、
カランカランと鐘を鳴らして合図するのも気に入っています。



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