ジャスパー駅到着そして出発
Welcome on board to Canadian !
カナディアンのジャスパー到着は14:05。
1時間25分の停車の後、15:30に
発車するダイヤとなっています。
発車の少なくとも1時間前には
切符の発行と荷物のチェックインを
する事が求められています。
列車到着間際は混雑すると思い、
切符の発券と荷物のチェックインは
午前中に済ましておきました。
マリーン渓谷の散策を終えジャスパー駅に戻ったのは、
午後2時をちょっと廻ったところ。
丁度、カナディアンが到着する時刻です。
Jasperの街の様子は、こちらです。
しかし、カナディアンが到着する様子はありません。
駅員に聞くと1時間程到着が遅れるということです。
駅には他の乗客も揃い、待合室は
多くの人で溢れているのですが、
みんな大人しく待っています。
時間と共に駅の職員が外に出て
列車を迎える準備を始めます。
駅舎の前の一番前の線路に到着する様です。
そして、定刻より1時間半近く遅れ、
15:40頃、ついにカナディアンが
ジャスパー駅にやってきました。
黄色い塗装のディーゼル機関車を先頭に
もの凄く長い編成のカナディアンが
ゆっくりと入線してきます。
機関車は3両です。
その後に、ステンレス製の車両が連なっています。
その両数はなんと23両です。
列車の編成は次の様な感じでした:
機関車3両 + 荷物車2両 + コーチ車3両 + ドームカー + 寝台車3両 + ドームカー +
食堂車 + 寝台車7両 + ドームカー + 食堂車 +寝台車3両 + ドームカー
編成の中にドームカーが4両、
食堂車が2両もある豪華な編成です。
上の右の写真がドームカーです。
展望室が屋根の上に突き出ていて
広大なカナダの景色を楽しめるようになっています。
列車がホームに停車したので、
先頭車の写真を撮りに行って見ました。
停車中のカナディアンです。
コルゲート状の帯を巻いた
ステンレス車両が印象的です。
長いカナディアンの編成なので
カナディアンの機関車が止まっていたのは、
ジャスパー駅の外れです。
ここで更に一両、機関車が増結されました。
ジャスパーからカムループスへの
峠越えに備える為でしょうか。
カナディアンの車両では引き続き
発車準備が続けられています。
ジャスパーからの乗客の荷物の積み込みや
寝台車から毛布やシーツも下ろされ
新しいものも運び込まれているようです。
その作業がひと段落すると、
窓の清掃作業も始まりました。
ジャスパーでの1時間半もの停車時間は
時間調整の為だろうと思っていたのですが、
この作業なら、さもありなんと言ったところです。
駅舎の前で、搭乗の開始を待つ乗客。
もともとこの列車に乗ることを目的にしている人が
多いので誰もイライラしている様子がありません。
やがて駅舎と列車を遮る柵が開けられ
ようやく搭乗が開始されました。
僕は寝台車のチケットを持っていて、
その車両は後ろから3両目です。
個室寝台に荷物を置いてしばらくすると
アテンダントの人が来ました。
簡単な説明の後、食堂車の予約を取りました。
5時半、7時半、9時半の3交代制です。
生憎、セカンドシフトは既に満席とのことで、
5時半からのファーストコールを予約しました。
時間は既に4時半を廻っていて、程なく夕食の時間です。
「ドームカーで、ウェルカム シャンペンのサービスがあるよ」
という、アテンダントのKenの声に
直ぐにそちらに移動する事にしました。
行ったのは編成の中ほどの隣にあるドームカーです。
幸い、一番後ろの席が空いていました。
この日は、変わりやすい天気だったのですが、
午後になって晴れ間が多くなってきたようです。
ドームカーには日が差し込んでいますが、
冷房が良く効いています。
シャンペンを飲みながら、ジャスパーの
駅からの景色を眺めていましたが、
やっとカナディアンはゆっくりと動き出しました。
時刻は17:17頃。
1時間47分の遅れです。
発車が遅れると、ジャスパー駅の景色を
眺めながらの食事となるところだったので、
ホッとしました。
ドームカーから後ろを振り返り、
過ぎ去るジャスパー駅を眺めたところです。
列車を待つ間、眺めていたジャスパーを
囲む山々ともこれで、お別れです。
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ジャスパーからカムループス
from Jasper to Kamloops
ジャスパーを発車した"Canadian"は西に向かい
Mitte Riverの谷に沿って走って行きます。
発車した直後、ゴンドラで登ったThe Whistlers
(ウィスラーズ山)が左手に見えました。
谷の両側には雪を被った山々が連なっています。
この山はHenry Mountain(ヘンリー山)でしょうか。
谷底にはMitte Riverの流れ。
針葉樹林の間を縫って流れていました。
カーブが多く、列車は右へ左へと
身をくねらすように走って行きます。
ドームカーからは雄大な自然の中を走る
"Canadian号"の様子を眺める事が出来ます。
この景色を眺めているうちに、
ドームカーのアテンダントが
夕食のファースト・コールの案内に来ました。
"Canadian号"はYellowheadの
峠に差し掛かったようです。
このYellowhead Passは北極海と
太平洋の分水嶺になっている峠です。
食堂車では、カナダ・オンタリオ州在住の
ご夫婦と同席になりました。
結婚45周年記念に「カナディアン」に乗車したそうで、
列車がバンクーバーに着いた
翌日が結婚記念日ということです。
湖や雪を被った山々を眺めながら
食事と楽しい会話が弾みました。
会話が弾んでいたので、
景色の写真を撮るのを控えていたのですが、
車内放送でロブソン山の案内がありました。
Mt. Robsonはカナダ最高峰の山です。
標高3954mのロブソン山には
雲がかかって頂上は見えなかったのですが、
その雄姿をカメラに収めることが出来て良かったです。
トロントから乗った人達には
3回目の「カナディアン号」での夕食ということで、
あちこちのテーブルでは、列車内で
知り合った人同士の話が弾んでいました。
日本の列車内では、こういった雰囲気は
なかなか味わえないだろうなと思っていました。
夕食を終え再びロビーカーに戻り、
雄大な景色を楽しんでいました。
雪を抱いた山々が車窓を通り過ぎていきます。
人工物はカナディアンの通るこの鉄道路線以外は
なかなか見つけることが出来ないのですが、
ポツンと、開拓時代の様な佇まいの
農家が車窓に現れました。
その後谷が広がり、
雄大な景色が展開しました。
日本の鉄道からの眺めとは
スケールが随分違っています。
ドームカーの展望室を離れ、
今度は、列車の最後尾にある
パークカーと呼ばれる展望車にも行ってみました。
ここには屋根に突き出た展望室の他に、
列車の最後尾からの流れも楽しむ事が出来ます。
ここではバンクーバーに長年在住されている
日本人夫婦の方に出会い話が弾みました。
景色を眺めるだけでなく、
こうして列車に乗り合わせた人達と
色々な話が出来るのも
「カナディアン」の醍醐味だなと思います。
話が弾むうち、列車はスピードを落とし、
線路のすぐ脇を流れ落ちる
「ピラミッド滝」を眺めさせてくれます。
あたりは次第に暗くなってきました。
9時半をまわり、食堂車のサード・コールがあり、
このパークカーの展望室もすっかり寂しくなってしまいました。
列車はNorth Thomson Riverに沿って走っています。
この川は、途中でFraser Riverと名前を変えますが、
バンクーバーまで「カナディアン号」は
ずっとこの川に沿って走って行きます。
夕暮れ迫るパークカーの展望室
暮れなずむ谷あいに、
2筋のレールがどこまでも続いています。
「カナディアン号」の夜が暮れていきました。
途中のKamloopまでは
起きていようと思っていましたが、
個室に戻ってベットに横になるうちに
いつしか眠ってしまったようです。
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カムループスからバンクーバー
from Kamloops to Vancouver
列車の程よい揺れで眠りに就いたのですが、
夜中に駅に停まる様な衝撃や
外で人の声を聞いたような気がします。
夢うつつの状態だったのですが、
真夜中にKamloopsに着いた時だったのでしょうか。
Kamloopsは、Calgaryからバンフ、レイク・ルイーズを通る
Canadian Pacificの路線とこの「カナディアン号」が走る
Canadian Natinalの二つの路線が出会う街です。
そのKamloopsからは、二つの路線が
Fraser Riverの造る渓谷の両側に沿って
バンクーバーまで続いています。
目が覚めてみると渓谷を走っていました。
時刻は5時半頃です。
昨日の夕方、ロブソン山を眺めているあたりで
British Columbia州に入っているので
時計を一時間戻してあります。
どんより曇った天気で、外はまだ
明けきっていませんでした。
切り立った山間に水量豊富な川が流れています。
対岸の山の中腹には、鉄道の線路も見えます。
地図を見ると、どうやらBoston Bar
という駅を過ぎたところのようです。
昨日は1時間50分程遅れていたのですが、
夜の間にどの程度遅れを取り戻しているのでしょうか・・・
しばらくベットに寝転びながら
Fraser川の流れを眺めていたのですが、
6時を廻った頃に再びロビーカーの
展望室に行って見ました。
さすがに朝早くなので、
ガラガラの状態です。
小雨も降りだし、折角の展望室からの
眺望も利かなくなってしまいました。
単線だった線路が二つに分かれ、
立派な鉄橋で谷を渡って行きました。
ドームカーで景色を眺めているうち
6時となり、食堂車で朝食が
食べられるとの案内がありました。
Fraser川の渓谷を眺めながらの食事です。
朝食はイギリスからのご夫婦と同席でした。
日本から来たと自己紹介すると、
「お互い左側通行する繊細な心を持った国から来たんだね」
という、イギリス人特有の表現で挨拶されました。
このイギリス人夫婦は4週間の休暇をとってのカナダ旅行で、
トロントから「カナディアン」でバンクーバーへ入り、
その後、バンクーバーやシアトルを訪れるそうです。
日本人の短い休暇とは違い、ゆっくりとした
旅を楽しめるのは、本当に羨ましい限りです。
食事を終え、再びロビーカーに戻りました。
目が覚めてからずっとFrazer川の
険しい渓谷に沿って走っています。
やがてゴルフ場が見えたと思ったら
耕地が広がり、町が現れました。
Hopeの町です。
白馬のいる牧場も車窓をよぎりました。
周囲は牧場や畑が広がり、
山は遠くに見えるようになりました。
車窓のガイドブックによるとこのHopeから
"Fraser CanyonがFraser Valleyに変わる"とあり、
CanyonとValleyの言葉の違いを実感出来ました。
やがて「カナディアン」はスピードを緩め停車しました。
貨物列車との行き違いかなと思っていたのですが、
Chiliwack駅に到着したのでした。
時刻表では4:42の発車になっているので、
3時間近くも遅れています。
Chiliwackは48時間前に乗降があることを
通知する事で列車が停車する
臨時駅の様な感じの駅です。
駅の真ん中付近が整地されていて
なんとか人が乗り降り出来るようになっています。
降りる乗客のいる車両が
整地してある辺りに止まるように
トレイン・アテンダントが機関士と
トランシーバーで連絡を取りあっていました。
どんよりと曇っていた空も
平野が広がると雲が薄れ
青空ものぞくようになりました。
ドームカーの天井の窓ガラス越に
白頭鷲が飛んでいく姿も見かけました。
MatsquiでもChiliwackと同じ様に停車し、
いよいよバンクーバーへと向かいます。
列車は3時間の遅れですが、
遅れを見越して旅程を組んであるので、
この程度の遅れなら気にはなりません。
他の乗客には失礼ながら、
出来るだけ「カナディアン」に乗っていたいので
もう少しぐらいなら遅れても構わないとも思っていました。
次第に家や工場が増え、カナディアンが走る線路も
貨物ヤードが現れてきました。
川幅が広くなったFraser川に寄り添うと、
やがて90度方向を変え、
鉄橋でFraser川を渡りました。
この辺りはVancouver郊外の
New Westminster市です。
人口約5万人のこの街はバンクーバーとの繋がりが深いようで、
Sky Trainという新交通システムでバンクーバーと結ばれています。
鉄橋の左手には、そのSky Trainの
立派なコンクリート橋も架かっていました。
Sky Trainのページは
こちらです。
Fraser川を渡ると住宅の建ち並ぶ丘陵地を抜け、
やがてVancouverの高層ビルが見えてきました。
貨物ヤードの様な留置線に一旦入線し、
その後方向を変え、最後尾からVancouver駅に到着です。
到着したのは11時10分過ぎ。
3時間20分程の遅れでした。
列車最後尾に連結されていた
Park Carが出迎えてくれます。
ステンレスの車体に深い青色の帯を巻き
とても風格のある車両です。
またいつかこの車両に乗ってカナダを横断したい、
思わずそういう思いがこみ上げてきます。
Vancouverの駅舎も大理石で
造られた堂々とした駅舎でした。
Vancouverからはこの「カナディアン」の他に
アメリカのシアトルに向かう
「Cascade号」が発着しています。
駅の中は多くの人で溢れていましたが、
「カナディアン」で出会った人達にお別れの挨拶をし、
Vancouverのホテルに向かいました。
Vancouverのページは
こちらです。
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