定刻を少し過ぎてやってきた宇和島行のバスです。
バス停には、旅行客風の人が一人待っていましたが
他に乗客はおらず、ガラガラの状態で発車しました。
地方のローカル線に乗ると、乗車率が低く、
路線が維持できるのかと、心配になる事も多いのですが、
実際のところはローカルバスの方がもっと状況は深刻で、
運転本数も一日数便で、そのバスも殆ど空席状態、
地方自治体の補助で、細々と運行が維持されている
という例が殆どなのではないでしょうか。
宿毛駅前を発車したバスは、東に向かい、
交差点を左折し、北に向かいだしました。
宿毛から宇和島へは西に向かうと思っていたので
どこを目指しているのか、少々不安に思います。
地図を見てみると、宇和島へと通じる国道56号線が
宿毛駅の東側で北に曲がり、峠道を越えて
宇和島を目指していました。
その峠道の様子です。
しばらく走ると、高知県と愛媛県の県境を越えました。
宿毛駅前を出てまだそれ程時間も経っておらず、
宿毛の町が県境に近い、高知県の西の端のある事に
改めて思い至りました。
緩やかな峠を越えると、山里の景色となりました。
屋敷杜で囲われた立派な農家が目につきました。
バスは垣内の停留所を過ぎると
小さな港に立ち寄りました。
一瞬、港の景色を眺めると、再び内陸部を走り
住宅地が増えると城辺の停留所です。
城辺は近くに南宇和高校もある
愛媛県南部の愛南町の中心にあたります。
ここは、鉄筋コンクリート造りの建物があり、
バスの営業所にもなっているようです。
この城辺で運転士さんが交代しました。
城辺を出て、集落を抜けると、左手に入り江を
眺めながら勾配を登るようになりました。
その後、一旦山間を走るようになりましたが
やがて、豊後水道に臨む雄大なリアス式
海岸の景観が広がるようになりました。
遠くに三つの小さな島が見え、その向こうに
入り組んだ断崖が遠くまで続いていました。
宇和島に向かうバスは海岸沿いを走るとは思っていましたが、
これ程の雄大な光景を眺められるとは思っていなかったので、
車窓の風景に釘付けになっていました。
やがて、豊後水道の景色が入り江となり、
柏の停留所を過ぎます。
トンネルを抜けると再び、豊後水道の
景色が車窓一杯に広がりました。
趣のある須の川の停留所です。
須の川を過ぎ、再び雄大な景色が広がります。
海岸沿いの公園を通り過ぎ、豊後水道に
細く突き出た由良半島の基部を
トンネルで越えていきます。
柿の浦のバス停を過ぎると、
入り江の景色となりました。
入り江の光景からトンネルを抜けると
嵐の停留所です。
この嵐を過ぎると、しばらくの間車窓に広がっていた
豊後水道の景色と別れ、山間をゆくようになりました。
天気も下り坂になったようで、雨も落ちてきました。
そんな中、お遍路さんの姿を見かけました。
観光バスでお寺巡りをするのが一般的になった
四国八十八か所巡りを、今でも歩いて
回っている人を初めて見たような気がします。
山間を抜けて、岩松川の河口に
架かる津島大橋を渡りました。
黒い雲が重く垂れこめ、雨脚も強くなってきました。
津島大橋を渡り岩松の停留所に停車しました。
再び山間の道を走るようになりました。
この山間の道では、国道56号線のバイパスがあり、
峠を越えると、郊外型の店も目につくようになりました。
しばらくずっと、豊後水道の眺めや
人里少ない山間の景色が続いていましたが
まとまった市街地に近づいている事を感じます。
その後、急激に住宅が増え、宇和島市街に入りました。
街中に入ると、小高い丘の上に宇和島城も見えていました。
市街地の中で何度か交差点を曲がり、
立派な宇和島駅に到着しました。
宿毛から約2時間、14:11に到着しました。
宇和島駅には何度も降り立っていますが、
すぐに折り返す事が多く、ゆっくりこの駅舎を
眺めるのは初めての様な気がします。
久しくのどかな景色を眺めた後では、
宇和島駅前のビル群は都会の様な感じでした。
宇和島駅前のホテルにチャックインした後に
宇和島城や宇和島の町の散策に出かけました。
宇和島の散策記はこちらです。
宇和島城の登城記はこちらです。