日本三代急流で知られる最上川。
山形県と福島県の県境の吾妻山を源に
米沢盆地、山形盆地を流れ庄内平野から
日本海に注ぐ延長229kmの一級河川です。
山形盆地から庄内平野に注ぐ間は
川の両側に山が迫り、最上峡と
呼ばれる渓谷を作っています。
この区間は、芭蕉も船で最上川を下っていて
今も川下りを楽しむ事が出来ます。
写真のJR陸羽西線の古口駅着12:30の列車で下車し、
バスで最上川下りの始発、戸澤藩船番所に向かいました。
戸澤藩船番所に着いてみると、思いもがけぬ、
江戸時代の番所の様子が再現されていました。
この地は、1622年(元和8年)に最上氏が改易となった後、
新たに設けられた新庄藩に属しています。
新庄藩には今の茨城県から移封された戸澤氏が
江戸時代を通じて藩主を務めていました。
こちらも江戸時代風の建物でした。
バスを下りて15分程で出航時間になり、
12:50発の舟に乗りました。
平日の昼間なので、舟に乗り合わせた人は4〜5人。
のんびりとした船旅になりそうです。
滔々とした最上川をゆっくり流れていきます。
この日は快晴の暑い天気ですが、
川を渡る風は涼しく、心地いいです。
舟を操る若い船頭さんの他に、もう一人
ガイド役の船頭さんが乗り込んでいて、
一時間あまりの舟下りの間、観光案内や
最上川舟唄を歌ってくれたりしてくれます。
土地の言葉で、朴訥とした語り口の
それでいて面白く、楽しいガイドさんの話も
最上川下りの楽しみの一つでしょう。
漂うよな最上川も次第に流れが速くなり、
両岸に山が迫ってきるようになりました。
写真ではよく判らないのですが、所々
茶色く紅葉したような木々が見えていました。
船頭さんの話では、楢の木が枯れているそうで、
害虫が繁殖している為だそうです。
豊かな自然に見えるのですが、一見しただけでは
判らない問題がある事を知りました。
やがて瀬が近づき、流れが速くなります。
”五月雨を あつめて早し 最上川”
と、芭蕉が詠んだのはどの辺りだったのでしょうか。
川岸に小さな滝が見えました。
轡滝という標識が見えています。
この瀬を抜けると再び最上川は
穏やかな流れに戻りました。
船番所から約5km程下流、舟下りの中程の
最上川ふるさと峡で一休みです。
ここから最上川はS字を描くように
大きく蛇行していきます。
川岸に再び滝が現れてきました。
この辺りには駒づめの滝、七滝、
そして大滝といくつもの滝があるようです。
写真の滝がどの滝かは忘れてしまいました。
やがて、緩やかに蛇行する最上川の
右側に仙人堂が見えてきました。
兄・源頼朝に追われ、奥州藤原氏を頼って
落ち延びていた源義経がここに立ち寄った際、
従者の常陸坊海尊がここに残り、この仙人堂を
建立したといわれているそうです。
白糸の滝も見えてくると約1時間の
最上川下りも終わりに近づき、
終着の近代的な最上川リバーポートの
建物が見えてきました。
のどかな最上川下りの旅。
夏の暑い時期、川を渡る涼しい風を
受けながらの舟下りも良かったですが、
秋の紅葉の頃はきっと素晴らしい
景色を楽しむ事が出来ると思います。
最上川リバーポートの脇に、当時の
舟を模した芭蕉丸が飾られていました。
この後、バスでJR高瀬駅に向かいました。