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日本で最も高い山脈、飛騨山脈は
日本3位の高さを誇る穂高岳を有する
穂高連峰から北に山々が連なり、
立山連峰、後立山連峰へと続いています。
立山連峰と後立山連峰の二つの山脈の間を
深く切れ込んだ黒部川が流れています。
険しい山々が連なる飛騨山脈は
北アルプスと呼ばれ、多くの登山家や
観光客を惹きつけています。
この北アルプスのやや北に位置する
標高3003mの雄山の下をトンネルで抜け、
横断する観光ルートがあります。
立山黒部アルペンルートです。
この立山黒部アルペンルートの開拓は
1950年代に遡り、1954年には立山から
美女平までの立山ケーブルカーが開業し、
バス路線も1964年には室堂まで到達しています。
扇沢からのルートは、黒部第四発電所の
建設の為のルートとして1958年に貫通し、
1971年に一般営業を開始しています。
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立山高原バス
立山高原バスは、立山ケーブルの終点、美女平から
雄山(立山)の麓の室堂までの23kmを結んでいます。
美女平駅の標高は 997mです。
美女平を出ると森林地帯を左右に
カーブを切りながら走って行きます。
常緑樹の間から朝日が差し込み、
紅葉した下草が車窓を横切りました。
この辺りは立山杉として
知られる天然杉の育成地で、
沿線に杉の巨木もありました。
この杉は仙洞スギと呼ばれ、
高さ21m、胴回りは94cmもあるそうです。
樹齢は300年にもなるそうです。
滝見台と呼ばれるポイントで、
バスは一時停車しました。
朝霧のなか、木々の間から遠く、
称名滝がうっすらと見えていました。
称名滝は立山から続く弥陀ヶ原から
流れ出した水が一気に350mの落差を
流れ落ちる、日本一の滝です。
丁度、座った位置から称名滝の
白い流れが眺められてラッキーでした。
滝見台からしばらく走ると森林限界を過ぎたのか
周囲の樹木がなくなり、急に展望が開けてきました。
バスの走行方向の右手に山塊が見えました。
標高2089mの鍬崎山でしょうか。
この鍬崎山との間には深く切れ込んだ
谷が横たわり常願寺川が流れています。
車窓左には標高2501mの
大日岳が見えてきました。
森林限界を過ぎると、
急に雄大な景色となり
何度もシャッターを押していました。
美女平の方向を振り返ると
眼下に切り立った山が見え、
その向こうには雲海が続いていました。
切り立った山は標高1361mの大辻山でしょうか。
この辺りの標高は既に1500mを超えている筈です。
再び大日岳の様子です。
朝日を浴びて輝く大日岳は
とても綺麗でした。
そして、バスの後部座席からの眺めです。
カーブする道路の遥か彼方の雲海の上には
秋の澄んだ青空が広がっていました。
この雄大な景色を眺めるうちに
弥陀ヶ原バス停に到着しました。
標高は1930メートルにもなります。
美女平から900m以上の高低差を
上った事になります。
バス停の奥ある弥陀ヶ原ホテルです。
立派な山岳ホテルで、ここに宿泊すれば
満天の星空や早朝の弥陀ヶ原の
散策を楽しむことが出来そうです。
多客期に弥陀ヶ原で途中下車する場合には
下車した際に、弥陀ヶ原から室堂に向かう
バスを予約するシステムになっています。
もちろん、空席さえあれば、
来たバスに乗ることも可能です。
発車してヘアピンカーブを上るうちに
弥陀ヶ原の高原が車窓に広がりました。
弥陀ヶ原の草原が、険しい山々の合間に
開けている様子が手に取るように判りました。
あの草原を先ほど迄、散策していた
かと思うと、感慨もひとしおです。
大日岳から奥大日岳の景色も
次第次第に近くに見えています。
透き通った青空が綺麗です。
バスは、ずっとヘアピンカーブの続く道を走り、
どんどんと標高を稼いでいきます。
次第に、草原が姿を消し、道路の脇に
石がゴロゴロする景色となりました。
この辺りが天狗平でしょうか。
車窓左手には、目も眩む様な
深さの谷が現れました。
一瞬したが素晴らしい車窓風景でした。
この谷は、称名川が刻む谷で、
この下流にあの称名滝があります。
遠く左手の山の陰に剣岳(2998m)の
頂も姿を見せていました。
やがて、立山連峰の主峰の大汝山(3015m)や
雄山(3003m)の雄姿が見えてきました。
立山駅からケーブルカーに乗り、
バスに乗り換え、長い距離を走って
やっと、この姿を目にする事が出来ます。
このバス路線が開通する前は、
一部の登山家だけが目に出来た光景です。
やがて、車窓左手に剣岳の姿が
くっきりと見えてきました。
この剣岳は険しい立山連峰の奥にあり、
なかなかその姿を見られないと
言われています。
その姿をこうして目にする事が
出来て感激していました。
更に勾配を上るうち、大汝山や
雄山が間近に見えるようになり、
麓の室堂ホテルの姿も
はっきり見えてきました。
周囲の景色は荒涼としていて、
いかにも空に近いところに来たと感じました。
室堂に近づくと、雪渓も見えました。
雄大な車窓風景を楽しむうちに
終着の室堂に到着です。
この区間に登山電車が走れば、
まるでスイスの様に、この素晴らしい景勝を
楽しむ事が出来るのに、と思いました。
黒部湖徒歩連絡
立山駅からケーブルカーやバス、
トロリーバスそしてロープウェーと
様々な乗り物を乗り継いできた
立山黒部アルペンルートの旅ですが、
黒部ケーブルの黒部湖駅から
関電トロリーバスの黒部ダム駅の間の
約600mは徒歩での連絡になっています。
この間に、あの黒部ダムがあり、
ダムの上を歩いて行きます。
黒部ケーブルカーを黒部湖駅で下車し、
細いトンネルを通って、黒部ダムを目指しました。
このトンネルの奥に全線が
地下を走るケーブルカーがあるとは
なかなか想像できません。
そして、トンネルを出ると、
目の前に黒部ダムと黒部湖の
雄大な景色が広がっていました。
切り立った赤沢岳の
麓に築かれた黒部ダム。
黒部ダムは高さ186mの
日本一の巨大ダムです。
ゴツゴツとした岩肌の真下にある
黒部ダム管理所が豆粒のように見えます。
雄大な景色の中で、人工物の大きさが
どんなものか実感が湧いてきません。
黒部ダムを歩いている時に、
ちょうど、観光放水がされていて
その雄大な眺めに釘付けでした。
勢い良く吐き出されるダムの水から
水滴が霧のように湧き上がってきます。
真下を覗くと、谷底が遥か下に見えていて、
吸い込まれるようで、恐怖心を覚えました。
黒部ダム下流の眺めです。
切り立ったV字の谷が続いています。
険しい山並みは黒部別山(2353m)でしょうか。
この黒部峡谷は日本一の険しい谷で
冬には豪雪の為、雪崩も頻発する地域です。
この下流に黒部第四発電所があります。
黒部ダムの建設にあたっては
立山黒部アルペンルートの一部となっている
関電トロリーバスのトンネルの他にも
黒部峡谷鉄道の欅平からトンネルが
掘られました。
黒部ダムから欅平まで、関西電力が主催する
見学会があり、それに参加すれば、
この区間を走る工事用のトロッコ列車に乗れます。
いつの日にか是非それを果たしたいと思っています。
ダムの上流側には細長い黒部湖があります。
実は、黒部ダムの上を歩いている時は、
黒部湖の写真を撮るのを忘れてしまったので
この写真はダムを渡る前に乗った
遊覧船乗り場に向かう際に撮ったものです。
傾きかけた日を浴びて、大汝山(3015m)や
富士ノ折立(2999m)が輝いていました。
黒部ダムの東側のコンクリート壁には
慰霊の碑がありました。
日本の高度成長期を支えた黒四ダムですが
その工事の最中に171人もの方が
亡くなっているそうです。
黒部ダムを渡り終えると
関電トロリーバスの黒部ダム駅へと続く
再び歩道用のトンネルに入りました。
このトンネルは途中に階段もあり
黒部ダム駅へは長い道のりでした。
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