Jungfrau Rail, Switzerland

乗車日:July 29 - 31, 2000




スイスの中央部に位置するInterlaken Ostから、
ベルナー・アルプスに鉄道の路線が延びていて、
標高3454mのユングフラウ・ヨッホまで
列車で登れるようになっています。

この間の鉄道は私鉄によって運営され、
いずれもラック式鉄道となっています。


Interlaken OstからGrindelwald・Lauterbrunennが
ベルナー・オーバーランド鉄道(BOB)

GrindelwaldからKleine Scheidegg及び
LauterbrunennからWengenを通って、
Kleine Scheideggまでの区間が、
ヴェンゲン・アルプ鉄道(WAB)

そしてKleine ScheideggからJungfaujochが
ユングフラウ鉄道(JB)です。




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ベルナー・オーバーランド鉄道(BOB)
Interlaken Ost - Lauterbrunnen・Grindelwald


BOB鉄道はInterlaken Ost-Lauterbrunenn及び
Zweiluetschinen- Grindelwald間の営業区間で、
路線の総延長は23kmの小私鉄です。

列車はすべてLauterbrunnen行きと
Grindelwald行きが併結されています。
朝夕は30分、日中は1時間毎の運転間隔です。

ベルンからの2階建てのICで
インターラーケン・オストに向かい、
ここでGrindelwald・Lauterbrunnen行きの
列車に乗り換えました。



BOBの線路幅は1000mmとベルンから
Interlaken Ostまでの軌間1435mmよりも狭く、
車両も随分小ぶりな感じがします。

先頭方向の車両がLauterbrunnen行き、
後寄りがGrindelwald行きの車両で、
それぞれ4両ぐらいづつ繋いでいました。


飛行場の脇を抜け、Wilderswilあたりから
Luetschine川に沿って遡ります。
10分程のZweiluetschinenで
Grindelwald行きの車両と分かれると、
谷も狭まり、勾配もきつくなって、
ラックの力を借りて登りはじめます。



幸い車両の最後尾に座っていたので、
気兼ねせずに窓を開けて外の景色を楽しみました。
谷を渡る澄んだ空気が心地よく車内に入って来ます。

列車に沿って流れる小川は白く濁っています。
これはこの川の源が氷河である事を示しています。
谷の向うに切り立った山も見えてきました。

やがて谷が屏風の様に切り立った崖となり、
車窓に覆い被さってきました。
U字谷の底を走っているのです。
高さ1000mはありそうなその崖に、
滝が現れました。
Staubbachの滝です。



この滝が見えて来ると、
終点Lauterbrunnenの駅に到着です。


今回の旅行(2000年7月)ではInterlaken-
OstからLauterbrunnenに向かったのですが、
1999年の2月にGrindelwaldにスキーに行った際、
Grindelwaldまでの区間にも乗りました。

この時は悪天候で3日間全くアイガーが見えず、
スキー場のリフトもその殆んどが止まっていました。



この写真は雪のZweiluetschinen駅の写真。
そして下の写真がGrindelwald駅の様子です。



冬の晴れた時にベルナー・アルプスを訪れるのも
きっと素敵なことでしょうね。



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ヴェンゲン・アルプ鉄道(WAB)
Lauterbrunnen - Wengen -
Kleine Scheidegg - Grindelwald






Lauterbrunnenの駅からはWAB鉄道に乗り換え、
Wengenを目指しました。

WAB鉄道はLauterbrunnenからWengen、
Kleine Scheideggを通り、Grindelwaldまでの、
総延長19.1kmの私鉄です。

Lauterbrunnenの標高が796m。
最高地点がKleine Scheideggの2061mで
標高差1265mを昇り降りするため、
全線がラック式レールとなっています。


BOBの列車でLauterbrunnenの駅に着くと
目の前にWABの列車が停まっていました。

WABの軌間はBOBよりも更に狭い800mmで、
車両は一段と小ぶりです。
座席の配置は通路を挟んで2列と1列で、
どことなく遊園地の豆列車の様にも感じます。

列車はわずか2両編成で、
既に多くの席が埋まっていました。
なんとか席を確保し発車を待たのですが、
発車時間になると別の列車がWengen方面に
発車して行ってしまいました。

慌てて行き先票を確認したのですが、
確かにWengen行きとなっています。
おかしいな?と思いながら運転手に聞くと、
乗り込んだ列車はWengen行きで、
すぐ発車するとのこと。

どうやらラック式区間では長編成の
列車を走らせられないので、
Kl. Scheidegg行きのすぐ後に
Wengen行きの列車を
走らせている様です。

一般の鉄道ではブレーキをかけてから
列車が停止するまで長い距離を必要とするので、
こうした続行運転は行われないのですが、
こうしたところも豆電車の様です。


Wengenを発車するとすぐ急勾配で
左に大きくカーブします。

ここからWengenまでの一区間で、
LauterbrunnenのU字谷の壁を登っていくのです。



先ほどBOBの列車から眺めたStaubbachの
滝が正面に綺麗に見えてきました。

列車は更に勾配を登り、U字谷の景色が
どんどん広がって行きます。
何人かの乗客が立ち上がり、
車窓の景色をカメラに収めていました。




この様な雄大な景色が列車の車窓から
楽しめるとは望外の喜びです。

この険しい地形に鉄道を敷設するとなると、
建設費も莫大だったでしょうし、
除雪費など毎年多くの維持費が
かかっていることと思うのですが、
こうして鉄道を運営していけるのは
大勢の観光客が利用しているからでしょう。

日本ではこうした登山鉄道は皆無に近いのですが、
スイスと同じ様に自動車の乗入れを禁止すれば
自然への影響を最小限にしたまま、
多くの人が自然の景色を楽しめる様に思います。

そんな事を思いながら雄大な景色を眺めるうち、
15分程でWengenの駅に到着しました。




Wengenの様子は こちらです。


Wengenで一泊した後、再びWAB鉄道に乗り
今度はヨーロッパの鉄道最高地点、
Jungfraujochを目指しました。

Jungfraujochはユングフラウとメンヒの間の
鞍部にあって、標高は3454m。
鉄道旅行は天気には左右されないのですが、
ここへはさすがに天気が気になります。
午前中は比較的天気良さそうだったので
運を天に任せて、列車に乗り込みました。

Wengenからしばらく上ると森林地帯となり、
Wengernalpの駅のあたりから、
車窓右手には、深く切れ込んだ谷の向うに
ゴツゴツとした岩の壁が現れて来ました。



ユングフラウへから続く山塊が
切り立った谷に落ち込んでいるのです。
崖の下のほうには所々雪渓が残っています。

中腹から山頂付近にかけて雲がかかり、
ユングフラウの全貌は見えないのですが、
この荒々しい岩の崖だけでも、
かなりの迫力で車窓に迫ってきます。

乗り換え駅のKleine Scheideggに着く頃には、
幸いなことに雲が晴れ上がり、
アイガー・メンヒ・ユングフラウの3山が、
目の前に聳えてきました。
ユングフラウヨッホでの景色が
楽しみになってきました。



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ユングフラウ鉄道(JB)
Kleine Scheidegg - Jungfraujoch






ユングフラウ鉄道はWABの乗り換え駅、
Kleine Scheideggからユングフラウ直下の
Jungfraujochまでの全長9km程の鉄道です。

Jungfraujochの標高は3454mにもなり、
ヨーロッパの鉄道最高地点となっています。
アイガーやメンヒと言った険しい山を抜けるため、
全線の殆んどがトンネルとなっていて、
終点のJungfaujoch駅もトンネルの中です。


Klenie Schideggの駅では、駅舎を挟んで北側が
ヴェンゲン・アルプ鉄道(WAB)のホーム、
南側がユングフラウ鉄道(JB)のホームです。
ホームといっても単に線路脇が舗装してあるだけで、
日本の様に高くかさ上げはされていません。

WABの列車からJBの列車に乗り継いだのですが、
団体旅行客と一般観光客の乗る車両を分けているようで、
後ろよりの一般観光客用車両に案内されました。

車内からアイガーがよく見えました。



数分後にGrindelwaldからの列車も到着し、
車内の座席が7割方埋まったところで発車。
この時も団体旅行客を乗せた車両が先に発車し、
僕の乗った車両が続行で運転されました。

トンネルの多いJB鉄道ですが、
次のEigergletscherまでは、
緑の牧草地の丘を登っていきます。


まず目の前にメンヒが見えてきました。



雲が晴れあがり、メンヒの山腹氷河が
目の前に迫る豪快な眺めです。

列車はスノーシェッドをくぐり、
やがてユングフラウが姿を表わしました。
雪を抱き整ったその姿は、他の山よりも
一段と際立っています。



昨日雲に隠れて見られなかったユングフラウが
今目の前にその姿を表わしたかと思うと、
胸が高まってきます。


やがて列車はEigergletscherの駅に着きました。
ここにはレストランもあり、帰りにここから
Kl. Schideggまでハイキングするのもよさそうです。

Eigergletscherからはトンネルの連続です。
トンネルの全長は7122mで、
JB鉄道の営業距離の3/4を占めています。

4000メートル級の山に列車で登るには
トンネルを掘るしかないのですが、
アイガーの険しい北壁にトンネルを掘って、
ユングフラウヨッホまで列車を通そうと
思い立ち、それを実行させたスイスの人たちの
情熱と熱意には本当に感心しました。


このトンネルの中には駅が二つあります。
最初がEigerwandすなわち"アイガーの壁"駅です。
ここからアイガーの北壁に穴をくりぬき
外が眺められる様になってます。



大きなガラス窓の向こうに、雲の間から
アルプの中に点在する集落が見えました。
Grindelwaldのあたりでしょうか?
ガラス窓のすぐ横にはゴツゴツとした
アイガーの壁が見えていて、
なんとも不思議な景色です。

トンネル内の駅はひんやりしていました。
列車は5分ほど停車していました。


Eigerwandを出ると次はEismeerです。
地図で見るとEigerwandを出ると
アイガーの山の中で進行方向を変え、
南西に向かっています。

このEismeerの駅でも観光用に
停車し、山をくり貫いた窓から
外の景色が見渡せるのですが、
Eigerwandからの景色とは打って変って、
冷たく凍りついた景色となっていて、
雪を抱いた山々の間に氷河も見えます。



いつの間にかアイガーの裏側に出ていた様で
正面左手の山はSchreckhornと思います。

乗客が全員戻った後いよいよ
ユングフラウヨッホに向けて発車しました。
車内は次第に寒くなり、心なしか
頭も少し重くなって来たような感じがします。

Kleine Schideggから40分あまり、
10:25頃Jungfraujochの駅に着きました。



駅はトンネルの中。
列車を降りると冷たい空気で、
体がピリッと引き締まりました。
さあ、いよいよユングフラウヨッホです。

ユングフラウヨッホはこちらを参照下さい。




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