伊根浦・舟屋群、京都府
IneUra "Funaya" Houses, Kyoto

伊根浦は、古い漁村です。
日本三景の一つ天橋立から
バスで30分程の所に位置しています。

天橋立の散策記はこちらです。

伊根は鎌倉時代初期の1191年(建久2年)に資料上初めて
その名が確認され、1549年(天文18年)の宮津・日吉神社の
棟札に伊根の有力者の名前が確認できるということで、
室町時代には集落が形成されていたようです。

伊根は江戸時代には宮津藩の藩領となり、
漁村として栄えていたようです。

伊根の集落の特徴は、入江に沿って建ち並ぶ舟屋群です。
切妻造りの建物が海に向かって妻入りに建てられ、一階部は、
舟を海から直接引き入れるように開放した造りになっています。

天橋立から伊根浦へ

天橋立を自転車で縦走した後、北の端の元伊勢籠神社に
自転車を置かせて頂き、バスで伊根浦に向かいました。


撮影: 2012年4月

このバスは宮津駅を発車し、途中、天橋立駅に立ち寄り、
阿蘇海をぐるっと巡り伊根に向かっています。

京都丹波鉄道の列車で天橋立に着いたのが、10:43。
このバスが天橋立駅を発車するのが10:51なので、
スムーズに乗り換えが出来るのですが、そうなると
この後のスケジュールを色々検討すると天橋立を
散策する時間が捻りだせません。

そこで、レンタサイクルして天橋立をショートカットし、
このバスに乗る案を思いつきました。

京都丹波鉄道宮福線の乗車記はこちらです。

伊根浦に向かうバスの車内です。
他に5人の乗客がいました。
GWの最中なので、少々寂しい車内でした。


撮影: 2012年4月

元伊勢龍神社を発車し、しばらく走ると
宮津湾沿いを走るようになりました。


撮影: 2012年4月

波静かな宮津湾を眺めながら走りました。
バスの沿線にはリゾートホテルもあり、
対岸にも観光ホテルがあるようです。

伊根に近づくと、漁港が現れました。


撮影: 2012年4月

その先に入り江が現れました。


撮影: 2012年4月

伊根の集落は、もう一つ岬を越えた向こう側ですが、
手前の入り江に伊根湾めぐりの観光船乗り場があります。


撮影: 2012年4+月

この観光船乗り場にバス停があり、ここで下車しました。
時刻は確か、定刻の11:42よりも少々遅れていたと思います。

伊根浦巡り

伊根浦は、入江に面して建つ舟屋群で知られています。
舟屋群は、建物の一階に船を入れ込む特徴的な構造です。
その舟屋群は、陸地よりも海からの方が見やすいと思って、
伊根ではこの観光船に乗るのを主目的にしていました。

停泊していた観光船です。


撮影: 2012年4月

バスが到着して、次の観光船の発車時刻は12:00丁度です。
観光船は30分起きに出向していて、所要時間は25分です。

伊根湾めぐりの観光船が出航すると、
舟の後ろには数多くのカモメや鳶が付いてきました。


撮影: 2012年4月

船内には餌が売られていて、これを買って
餌付けする観光客も多いのでしょう。
鳥たちは、ずっと付いてきていました。

出航してしばらくすると、右手に舟屋群が見えてきました。
この舟屋群は、メインの伊根湾の舟屋群の手前にあるものです。


撮影: 2012年4月

海に面して何棟もの舟屋群が並ぶ姿は圧巻です。
舟入の構造も、期待したように、良く見えています。

小さな岬を抜けると、伊根湾の入り江が見えてきました。
ここは小さな入り江に沿って舟屋が連なっています。


撮影: 2012年4月

上の写真は、伊根湾東側の海岸沿いの舟屋です。
山が海に落ち込む狭い平地の海岸線に沿って
舟屋が並んでいます。

一階の船入れの様子も良く判りました。
今は船も大型化したりして、舟屋に船を
係留している家も減っているようです。

そしてこちらは、伊根湾の一番奥、
伊根浦の集落の中心部の様子です。


撮影: 2012年4月

観光船は、海岸沿いの舟屋群に沿うように
伊根湾を反時計方向に一周しました。

下の写真は、伊根湾の西側の舟屋群です。


撮影: 2012年4月

こちらも急な山と海の間に建つ舟屋が
海岸線に沿って続いています。

伊根浦の舟屋群は、江戸時代後期からの
古い漁村の町並みを今に残し、2005年(平成17年)に
重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。

保存対象の舟屋は113棟、すべての保存対象は
460軒となっており、奈良県今井町の重要伝統的
建造物群保存地区に次ぐ対象保存件数の多さです。


撮影: 2012年4月

舟屋の裏側に、海岸線と平行に道路が走り、
道路を隔てた反対側に母屋が建っているようです。
母屋は住居になっており、舟屋は漁関連以外では
子供夫婦の住居などに使われることがあるそうです。


撮影: 2012年4月

遊覧船は20分程でしたが、あっという間に時が経ち、
とても充実した観光船の旅になりました。

伊根浦集落を歩いて

伊根浦めぐりの観光船の旅を満喫した後は、
伊根浦の集落を歩こうと思っていました。
しかし、その後の予定を考えると、伊根浦を
12:46のバスに乗る必要があります。

伊根浦めぐりの観光船の所要時間は25分。
伊根浦めぐりは、伊根の町から1.5km程
離れていて歩くと20分程かかります。

舟屋群を眺めながらこの道を歩いて、天橋立に戻るバスに
乗ればいいかなと思っていたのですが、初めての土地で、
バス停の場所も判っておらず、バス停とバス停の間を歩いて
いるうちに、バスとすれ違ってしまう可能性もあります。

どうしたものか、と時刻表を眺めていると、伊根浦めぐりの
観光船乗り場から伊根浦方面に12:22に出るバスがあります。
観光船が25分の所要時間となると、間に合わないのですが、
バスが少々遅れることもあると踏んでそれに賭けてみる事にしました。

実際に現地に行ってみると、観光船は少々早めに港に戻り、
バスは数分遅れて到着したので、3分のギャップが埋まって
無事に伊根浦方面のバスに乗ることが出来ました。


撮影: 2012年1月

伊根浦の中心部は、観光船乗り場から3つ目のバス停ですが、
2つ目の平田のバス停で下車して、バス停一つ分歩く事にしました。
乗車する時は写真を撮る余裕はなかったので、上の写真は
平田のバス停で見送ったバスの様子です。

前置きが長くなりましたが、ここから伊根浦の散策です。
下の写真の右側が舟屋、道路を隔てた左側が母屋です。

 
撮影: 2012年1月

通りから眺めると、一階の舟入造りの部分の戸が
閉められていて、なかなか特徴的な姿が見えません。

ようやく、舟入の部分を眺めることが出来ました。


撮影: 2012年1月

他に観光客の姿もなく、静かな漁村を
5分程歩くと、伊根浦の中心に着きました。
ここでは、海岸線に出ることが出来ました。