妻籠から馬籠へ
Walking from Tsumago to Magome, Japan






旧中山道の宿場町、妻籠。
南隣の馬籠宿も、島崎藤村の小説
「夜明け前」の舞台となった、
情緒豊かな宿場町です。

妻籠宿の様子は、 こちらです。
馬籠宿の様子は、 こちらです。


この妻籠から馬籠までは途中標高801mの
馬籠峠を越えて約8km程の道のりです。
この道のりは石畳も残っていて、
中山道の面影を残した道のりを歩いて来ました。


妻籠の街並みの外れの駐車場の脇から
旧中山道の小道が続いていました。
道の脇に赤い花が綺麗に咲いていました。



車の走る舗装道路に出て小川を渡り、
狭く未舗装の山道に入ります。

舗装道路を歩いている時は、
暑苦しく汗ばむのですが、
一度木々の迫る道を歩くと、
す〜っと涼しくなってきます。

やがて集落が現れてきました。
大妻籠と呼ばれる集落で、
ここにも何軒か民宿があります。



妻籠と違い観光客もいなくて
ひっそりとした佇まいです。

大妻籠の外れにある庚申塚です。



庚申塚は道祖神と同じ様に道行く
旅人の安全を祈願したものだそうです。

この庚申塚をすぎると
山深い木曽路となりました。



石畳の道が復元されていて、
それが檜の木々の中に消えています。
九十九折れの坂道を登り馬籠峠を目指します。


尾根に出ると、小さいながら田圃も現れ、
たくさんの赤とんぼが稲穂に止まっています。

再び木々の合間を通るようになると、
道の脇に小屋が見えてきました。



倉科祖霊社と呼ばれる社です。
その昔、この山深い峠道で
盗賊に襲われ命を落とした武士の
慰霊に建てられたのだそうです。


この倉科祖霊社を過ぎて程なく進むと、
舗装道路が現れて来ました。
この舗装道路を下って行くと、
小川のせせらぎに、轟々と
滝の音が響いていました。



江戸の当時には中仙道の名所の一つに
なっていたと言う、男滝・女滝です。

見てみると一筋の大きな流れでしかないのですが、
左が男滝、右が女滝との案内板がありました。

金の鶏が滝壷に飛び込んだという伝説や、
吉川英治著「宮本武蔵」で、武蔵の
恋の舞台にもなっているそうです。

この辺りは地形が急峻で、旧中山道も
何度か付け替えられているそうです。
今の道は滝の上を通っていますが
幕末の頃はこの滝の下を
中仙道が通っていたそうです。

ここから馬籠まで、5km弱。
随分歩いた様に感じたのですが、
まだ半分にも達していません。

これは、滝の上を通る旧中山道。



天を目指し、真っ直ぐ伸びる檜の中に、
街道が延びています。


深い山道を抜け、一旦車の走る舗装道路に出会い、
しばらく行くと、再び石畳の道になりました。
碑と石畳の組合せがとっても絵になります。



この辺りは、殆んど人家もなく、
熊に注意の看板も立っています。

石畳の道を抜けると、小川に沿う様になり、
せせらぎの音を聞きながら、気持ちいいハイキングです。


やがて、山の中に一軒の家が現れてきました。
一石栃白木改番所跡です。



昔はここに、通行手形を検める番所と、
峠下の茶屋が何軒かあったそうです。

今はこの番所跡が残るのみです。
周りに草の生い茂る空き地があり、
この空き地に昔は茶屋が建っていたんでしょうね。

一石栃の番所跡を過ぎ、再び深い山の中。
空も暗くなり、どうやら
一雨来そうな按配です。

かなり足もくたびれてきて、
きつい上り坂です。
やっとのことで、視界が開け、
馬籠峠に着きました。



標高801mのこの峠は中仙道の
難所の一つだったそうです。

生憎今にも雨が降り出しそうな天気で、
視界も開けていませんが、
晴れていれば妻籠の方が望めるそうです。


峠の手前の急坂で汗をかいたので、
峠の茶屋でかき氷で疲れを癒していたら、
雨が降り出してしまいました。

大粒の雨粒で、急に気温も下がり
肌寒くなってきました。

馬籠峠から馬籠宿まで3km程の道のりです。
妻籠側とは打って変り、
開けた舗装道を歩いていきます。

峠下の集落に十返舎一九の句碑が建っていました。



峠を越え、雨は降っているものの
下り坂で、歩くのは楽になってきました。

水車小屋の脇を抜け、うっそうと
した藪の中を歩きます。

やがて、丘陵地が現れ再び上りとなりました。

歩き疲れた身にはちょっと堪える上り坂です。
振り返ると、馬籠峠から下ってきた道が
山間に続いていました。



この坂を登りきると、馬籠宿が眼下に広がりました。

妻籠宿から、馬籠宿まで約3時間半。
坂道で疲れましたが、旧中山道は
いい状態で整備されていて、
楽しいハイキングでした。



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