「木曽路はすべて山の中である」
島崎藤村が「夜明け前」で綴った
宿場町、それが馬籠です。
木曽路11宿の最南端の宿場町。
尾根に沿った中仙道の急坂に沿って
家々が連なっています。
妻籠から8km程の道のりを
歩いて馬籠に向かいました。
宿場の外れの高札場を過ぎ、
急坂を下っていきます。
「中仙道馬籠宿」の碑をすぎ
いよいよ馬篭宿に入って行きます。
降りしきる雨で観光客の姿もまばらです。
建物は軒を連ねるといった感じではなく、
比較的開放感があります。
名物「御幣餅(五平餅)」を食べる為に、
喫茶店でひと休み。
お店の裏側は、深い谷があり、
雨に山並みが霞んでいます。
この景色を見ると、馬籠宿が尾根の急坂に
出来た宿場町というのが実感出来ます。
晴れていれば木曽谷と伊那谷を分ける
恵那山を遠く眺める事が出来るそうです。
古びた宿が続く馬籠の宿。
石畳の旧中山道がかなりの急坂です。
濡れた石畳に足を滑らせそうになりながら、
坂道を下っていくと、本陣跡に建てられた、
藤村記念館がありました。
小説「夜明け前」の作者・島崎藤村は
馬籠の本陣に生まれ、ここが
資料館になっているのです。
宿場の北側に入った永昌寺には、
島崎家一族のお墓があります。
本陣の近くの横道に分け入っていくと
永昌寺にたどり着きます。
2007年12月に馬籠を訪れた際、
永昌寺に立ち寄ってみました。
霧にむせぶ永昌寺の佇まいです。
墓地に咲くゆりの花が綺麗でした。
いつしか街道の両脇に御土産物屋さんや
民宿が軒を連ねるようになりました。
石畳の道の脇に疎水が流れています。
水が勢い良く流れ、水車が回っています。
馬籠は急坂故に、水の便が悪く、
吹き上げる風が強いので、
過去に何度も大火に見舞われたそうです。
この建物は民宿「但馬屋」です。
当時の宿場の様子を彷彿とさせています。
宿場の資料館の囲炉裏の様子です。
江戸時代の生活の様子が
そのまま残っているようでした。
「但馬屋」を過ぎ最後の急坂を下ると
坂道の続く馬籠宿の外れに近づいていきます。
宿場の家々の向こう側に
雲のたなびく様子が見えています。
馬籠宿の一番下の玄関口には桝形がありました。
直角を2度組み合わせ、
外敵の侵入を防いだものです。
雨が降る中駆け足の馬籠宿の観光でしたが、
石畳や建物が良く整備された宿場で、
当時の雰囲気もそのまま残されていました。
桝形を出ると、中津川行きのバス停があります。
昔懐かしいボンネット型バスで、帰路につきました。
馬籠から旧中山道を更に下ると、
「是より北、木曽路」と書いた碑や、
石畳の道も残されているそうです。
いつかまた馬籠宿を訪れ、
その石畳の道を歩いてみたいです。