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「白鳥」は、以前は昼間に日本海縦貫線を走り
大阪と青森を結ぶ特急列車でした。
1961年10月のダイヤ改正で走り始め、
2001年3月まで運行されていました。
その後、2002年12月に東北新幹線が八戸まで開業すると、
本州と北海道を結ぶ特急列車となっています。
現在(2010年9月)では八戸 - 函館間に
「スーパー白鳥」「白鳥」を合わせ一日8往復運行され、
青森 - 函館間の区間運転の列車が2往復走っています。
青函トンネルを通って、青森と函館を結ぶ津軽海峡線には、
以前は快速「海峡」が運行されていましたが、スピードが遅く
高速フェリーに対する競争力がないことから
この特急「白鳥」に置き換えられたようです。
2008年11月に青森から函館まで、
この特急「白鳥」に乗車しました。
その時の様子を紹介します。
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青森 - 青函トンネル
(Aomori - Seikan Tunnel)
2008年11月24日の朝 8:34。
大阪から寝台特急「日本海」で
15時間ほどかけて青森に着きました。
寝台特急「日本海」の乗車記は
こちらです。
この日は青森では途中下車せず、
そのまま函館へと向かいました。
青森で23分間の待ち合わせで
8:57発の特急「白鳥45号」に乗車しました。
広い青森駅の一番西側の6番線ホームに
特急「白鳥45号」は停車していました。
青森駅ホームの北の外れの様子です。
以前は、この先に青函連絡船が停泊していて、
青森駅に特急や急行列車が到着すると
ホームの端にある跨線橋に、
多くの乗客が向かったものですが
跨線橋の入り口は閉鎖され、
青函連絡船へと続いていた線路も
ひっそりとしています。
人影少ない青森駅で発車を待つ「白鳥45号」に
乗り込む乗客の姿はまばらでした。
ガラガラの状態のまま、
定刻の 8:57 発車しました。
いくつもの線路が輻輳しています。
車窓左手に東北本線の線路が別れ
その後、貨物線が寄り添ったかと思うと
今度は奥羽本線の線路が分岐していきます。
線路がめまぐるしく離合した後、
単線となった津軽線を「白鳥」は
速度を上げて走り出しました。
車窓左手には広々とした
景色が続くようになりました。
やがて、なだらかな雪山も見えてきました。
地図を見ると津軽半島の中央に位置する
大倉岳(677m)、十二岳(602m)でしょうか。
車窓右手には住宅地が続いています。
途中、各駅で貨物列車や普通列車と交換します。
車窓風景は鄙びた景色ですが、本州と北海道を結ぶ
幹線を走っていると実感しました。
やがて特急「白鳥45号」は海岸線を走るようになり
陸奥湾の景色が車窓一杯に広がりました。
写真右は浅虫温泉のある夏泊半島、
写真左は下北半島の眺めです。
浅虫温泉の様子は
こちらです。
左の写真の山並みは恐山、そして
海岸沿いの崖は仏ヶ浦と思います。
陸奥湾の雄大な景色を眺めるうちに
蟹田に到着しました。
青森から27.0km、22分です。
数人の乗客が特急「白鳥45号」を待つだけで、
駅はひっそりとしていました。
蟹田駅に停車中の特急「白鳥」の様子です。
蟹田を出ると、陸奥湾から別れ、
西に方向を変えます。
左手遠くに雪を抱いた山が見えてきました。
先ほど見えていた大倉岳と思います。
線路際に見かけた神社です。
中小国を過ぎると津軽線と別れ海峡線を走ります。
高架橋をスピードを上げて走りました。
写真の高架橋は海峡線の上り線で、
下り線との間に北海道新幹線の線路が配置され
海峡線と新幹線の線路が合流する様になります。
津軽線に入るとトンネルをいくつか通っていきます。
全長5,880mの長い津軽トンネルを抜けると
津軽今別駅に差し掛かります。
この津軽今別の駅前には先ほど分かれた
津軽線の津軽二股駅があるのですが、
生憎、特急券の検札があり、
写真を撮ることが出来ませんでした。
津軽今別を通過し青函トンネルに入りました。
津軽海峡の海底下100mをくぐる
全長53.85kmの世界一のトンネルです。
特急「白鳥45号」は青函トンネル内を
140km/hのスピードで駆け抜けますが
車窓には闇の景色が続きました。
青函トンネルの最深部では
青と緑のライトが光っているとの事でしたが
残念ながら気がつきませんでした。
青函トンネル - 函館
(Seikan Tunnel - Hakodate)
全長 53.3km の青函トンネルを走るうちに
暗闇の中、単調な走行音を聞いている内に
つい、ウトウトと居眠りしてしまいました。
ふと気がつくと、トンネルを抜け、
北海道に上陸していました。
どんよりと重く垂れ込めた空の下
雪原の向こうに雪山が並ぶ様子は
いよいよ北国に来たという実感が湧いてきました。
再び、トンネルを抜けると津軽海峡が
山の間に、遠く見えていました。
一瞬の光景でしたが、針葉樹の木々が
空に映え素晴らしい光景です。
この光景を眺めるうちに人家が増え、
車窓左手から江差線の線路が寄り添うと
木古内に到着しました。
江差線との接続駅ですが、
この木古内でも乗り降りする人は
ほとんどいませんでした。
木古内を発車し、ここからは江差線となります。
1988年に青函トンネルが開業し、
青森と函館間が結ばれましたが、
トンネル部分の海峡線と青森、函館との間は
既存の津軽線と江差線で接続されています。
この特急「白鳥」や北海道と首都圏・関西を結ぶ
貨物列車も一日に50往復も設定されている
陸の大動脈なので、両端の津軽線・江差線も
列車交換設備を増やしたり、線路の規格を
上げたりという改良工事が行われています。
車窓に再び、針葉樹の姿が現れました。
とても絵になる光景です。
やがて、特急「白鳥45号」は
津軽海峡に沿って走りました。
重たく垂れ込めた空の下に
鉛色の津軽海峡の冬景色が
広がっていました。
写真右手は渡島半島の先端にそびえる
丸山(655m)か岩部岳(794m)でしょうか。
左の写真の山影は、函館山です。
中央、津軽海峡の遥か向こうには
晴れていれば下北半島や津軽半島の
山並みが見えている事でしょう。
特急「白鳥45号」はこの雄大な景色を
眺めながら走っていきます。
線路は高速走行できるように改良されていますが、
海岸段丘の迫る海岸線沿いカーブが多いので、
特急「白鳥45号」はスピードを抑えて走ります。
途中で渡島当別駅の瀟洒な駅舎が見えてきました。
函館湾に沿って北上するようになり
函館山が右側車窓の正面に見えていました。
テーブル状の山の様子が
手に取るように見えています。
15世紀の城館・茂別館のある
茂辺地を過ぎ、いくつかトンネルを過ぎると
平地が広がり、住宅が広がってきました。
車窓左手遠くになだらかな山裾が見えてきました。
駒ケ岳へと続くスロープでしょうか。
この山裾の眺めも住宅の屋根に遮られる様になり、
枯れ草の向こうに広い留置線が見えてきました。
函館本線と合流し、五稜郭を通過します。
函館本線の乗車記は
こちらです。
函館市内のビルが建ち並ぶなか、
車両基地の向こうに函館山が大きく見えてきました。
数多くの線路が輻輳するなかスピードを落とし、
10:49 定刻に函館駅に到着しました。
青森から160.4kmの距離を
1時間52分で走り抜けました。
隣のホームでは11:00 発の札幌行き
「スーパー北斗7号」が発車準備を整えていました。
「白鳥45号」からの下車客と、「スーパー北斗」の乗客で
思いがけず賑わうなか、函館で下車しました。
昨夕の17:47 に大阪駅を寝台特急「日本海」で発ち
特急「白鳥」に乗り継いで、約17時間での到着です。
しみじみ、「遥々やってきた」と実感しました。
函館駅で下車するのは約16年ぶりでしたが
函館駅は近代的な駅舎に変わっていました。
寝台特急「日本海」の乗車記は
こちらです。
函館の散策の様子は
こちらです。
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