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鉄道旅行へのいざない



特急「あさぎり」
(小田急新宿 - 沼津)

Limited Express "Asagiri"
(Odakyu Sinjyuku - Numadu)







特急「あさぎり」は、JR東海と小田急が
共同で運行する列車です。


この列車の歴史は、1955年に小田急が
新宿から御殿場まで国鉄に乗り入れる
急行の運行を開始した事に始まります。

その後、JR発足後の1991年に特急格上げとなり、
その際にJR東海と小田急が新型車両を投入しました。

小田急の乗車記はこちらです。


2階建のグリーン車を連結したJR東海の371系と
小田急20000系RSE車は共に斬新なデザインです。

新型車両を投入しての一日4往復の運行と
、 順調な歩みを始めたと思っていた特急「あさぎり」ですが、
371系と小田急20000系を投入し20年以上経った
2012年3月17日のダイヤ改正でどちらの車両も廃車となり、
小田急60000系による小田急新宿 - 御殿場間の特急になりました。

その特急「あさぎり」の乗車記を紹介します。




JR東海371系「あさぎり」
JR Central 371 Series "Asagiri"
Apr.15, '06

小田急20000系「あさぎり」
Odakyu 20000 Series "Asagiri"
NEW ! Mar. 22, '12

小田急60000系「あさぎり」
Odakyu 60000 Series "Asagiri"





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JR東海371系「あさぎり」
JR Central 371 Series "Asagiri"



乗車日:Jan 12, 2006






2006年1月、珍しく東京出張が入り、その際に、
沼津で泊まり、JRから小田急に乗り入れ、
新宿に向かう特急「あさぎり」に乗りました。

小田急の乗車記は
こちらです。


「あさぎり」の発車5分前に駅に到着しました。
列車は既にホームに入っていて、
焦り気味で電車に乗り込みました。

白地に青いストライプの塗装は
新幹線のようなスマートな電車です。



この電車はJR東海の車両です。

この車両がデヴューする前に試運転しているのを
帰宅途中に見かけたことがあるのですが、
斬新なデザインとさわやかな塗色で
目を奪われた覚えがあります。

その車両に乗れたらいいなとその時憧れたのですが、
その願いが、やっと今叶います。

グリーン車は二階建ての上の階にあり、
窓が天井近くまで広がっていて、
沿線の景色を思う存分楽しめます。



定刻の8:00丁度に発車。
ポイントを渡り、御殿場線に乗り入れます。
駅構内の車両基地の脇を抜け、ゆっくりと
いくつものポイントを渡る様子は、風格を感じます。

今日は良く晴れていますが、
富士山の方向には
あいにく雲が垂れ込めています。

東の空は青空が広がっていて、
箱根の駒ケ岳の頂上に日が当たっています。



箱根の山々が逆光に映えています。
この景色も一級品の眺めです。

雲のかげから富士山が顔を覗かせ始めました。
周囲は住宅地が続いていて、
屋根の上に富士山が見えています。

沼津から11分で裾野着。
裾野を過ぎるとようやく家並みが途絶え、
開けた景色の向こうに富士山が見えています。

枯野と雑木林の向こうに
雪を被った富士山という景色です。



この景色がしばらく続きます。
グリーン車の車内からコーヒーを飲みながら
富士山を眺めるのは格別なものです。


やがて家が増え、屋根越しに
富士を眺めるようになりました。



御殿場駅が分水嶺だったようで、
発車すると下り勾配となりました。

そして、富士山にお尻を向けるように、
急に右に大きくカーブを切りました。

箱根の山に丁度太陽が差し掛かり、
所々雪に覆われた原野に日が当たっていました。




車窓右手には、遠く丹沢山系の山々が見えています。

丘陵地に囲まれた谷間に分け入りました。
足柄辺りで、酒匂川の支流の川に沿って走ります。

蛇行する川に沿って谷間を走り、
時折、左手の車窓に遠く富士山が見えたかと思うと、
今度は、日の翳る谷間を走りました。




やがて、酒匂川の本流に沿うようになりました。
東名高速道路も同じ谷あいを走っていて、
赤い橋が谷間を一跨ぎにしています。



しばらく酒匂川の谷に沿っていましたが、
やがて山北を通過します。

戦前は熱海と三島を結ぶ丹那トンネルが開通してなく、
この御殿場線が東海道本線のルートになっていました。

その当時は、蒸気機関車の時代。
今通ってきた、御殿場から山北までの勾配が
蒸気機関車にはきつい坂で、この山北から
補機とよばれる機関車が連結されていました。

今では、谷あいの小さな駅ですが、
当時は多くの蒸気機関車が屯する
大きな駅だったようです。

その当時の名残を示すように、
駅の構内に蒸気機関車が展示されていました。


山北を過ぎると、急に平野が広がってきました。



今までの渓谷の様子とは一変し、
広々とした眺めです。

8:51、松田着。
沼津からJRの線路を走っていたのですが、
ここを発車すると小田急の線路に乗り入れます。

松田駅の構内の南の端で国府津に向かう
JR御殿場線の下を小田急線が
ほぼ直角に交わっています。

松田を発車した「あさぎり」は
本線から外れたと思うと、向きを変え、
小田急線に寄り添って行きました。



この連絡線、JRにも小田急にも
営業距離の設定はないのですが、
定期の旅客列車が走る路線なので、
番外編として乗っておきたい区間でした。


小田急線に入ると、川音川に沿い渓谷を行き、
その後は丹沢の山々を眺めながら走って行きます。



小田急線に入り駅を通過する時、
この「あさぎり」を退避している
電車を見かけました。

9:14、本厚木に着きました。
ホームの向かいに停車しているのは
本厚木始発の急行電車と思います。



もう9時をすぎ、通勤のピークは 過ぎていると思いますが、
始発駅で既に座席は すべて埋まっているようです。

この「あさぎり」にも多くの乗客が乗り込んできました。


本厚木を過ぎ、相模川を渡り、
住宅が立て込んできました。

次の町田では、このグリーン車も
ほぼ満席の状態になりました。

玉川学園あたりの丘陵地に広がる住宅地を抜けると、
多摩ニュータウンからの多摩線が合流してきました。



青空に映える高架橋が印象的でした。

この辺りからは住宅が次第に密集してきます。
駅の間隔も短くなり、頻繁に満員の通勤電車を
退避させながら駅を通過していきます。

そして多摩川を渡ると東京都に入ります。



密集した住宅を避けるように
高架の路線を走るようになりました。

左手遠くに新宿の高層ビルが見えてきました。



2時間わたる特急「あさぎり」の旅も
そろそろ終わりに近づいてきました。

逆光に輝く箱根外輪山の山々と朝日に輝く富士山。
酒匂川の渓谷を抜け、眺めた丹沢の山々
そして、密集した住宅と新宿の高層ビル

特急「あさぎり」は変化に富んだ
景色を満喫出来る列車です。


小田急・小田原線の乗車記はこちらです。

新宿で接続する「中央東線」の乗車記はこちらです。



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