Train Ride from London to Edinburgh

乗車日:July 15, 2000






鉄道発祥の地、イギリス。
日本に鉄道が敷かれる50年も前に
鉄道を発明した国なのですが、
その後、イギリスの鉄道は斜陽化の道を歩み、
今では日本・フランス・ドイツなどの
後塵を拝しているようです。

僕もドイツのICEやフランスのTGVには
何度か乗った事があったのですが、
イギリスの鉄道というとパリ行きのユーロスターや
ヒースロー空港からロンドンの中心に向かう
ヒースロー・エキスプレスだけでした。

そこで、スコットランドへの旅行を計画した時、
列車でロンドンからエディンバラへ向かう事にしました。

ロンドンの様子は こちら です。

ロンドンのKings Cross駅を出発し、
ヨーク、ニューキャッスルを通り
エディンバラまで約630kmの鉄道の旅。

花形列車「フライング・スコッツマン」の
ルートに沿って、イングランドの首都から、
スコットランドの首都に向かいました。




エディンバラ行きの列車はKings Cross駅から発車します。



ロンドンの北東部にあるKings Cross駅。
駅周辺は賑っていて、車の通りも、
人の行き来も激しいところです。

すぐ隣にSt. Pancras駅の駅舎があります。
中世の大聖堂の様な堂々たる造りの駅舎です。
St. Pancras駅はミドランド鉄道のターミナルとして、
かつてはスコットランド行きの列車が走っていたようです。



イギリスの鉄道は、元々すべて私鉄だったそうで、
各鉄道が豪華なターミナルを競い合って建てたそうです。
St. Pancrasの駅舎は古き良き時代の名残りの様です。


Kings Cross駅に停車中のエディンバラ経由
グラスゴー行きの列車です。

ホームがドームに覆われていて、
とてもいい雰囲気です。




列車は荷物車+1等車2両+食堂車+2等車5両の
9両編成で、前後にディーゼル機関車がついています。
車両はHST125と呼ばれる形式で、
最高速度125mile (=200km/h)で走る事が出来ます。

イギリスの鉄道は、第二次大戦後、
斜陽化が進み、一旦国有化されたのですが、
日本の国鉄の民営化に刺激され、
数年前に再び私鉄の運営に変わっています。

この東海岸線のメイン・ルートを運営するのが、
Great North Eastern Railway (GNER)です。

乗車率は7割ほど。
但し、殆んどの座席には指定済みを示すカードが
挟まっていて、途中駅からの乗車も多いようです。


列車は11:00丁度、定刻に発車しました。
しばらくはロンドンの街中を走りますが、
やがて切り通しや、線路脇に雑木林が続き、
視界が妨げられる様になりました。
雑木林の合間から、レンガ造りの家が立ち並ぶ
住宅地が、時折姿を現しました。

推察ですが、鉄道沿線の住民を列車の騒音から
守る為に、線路脇に木を植えている様な気がします。

ロンドン郊外の住宅地を過ぎたのか、
切り通しや雑木林がなくなり、緩やかに起伏する
丘陵地が現れてきました。
綺麗に整備されたゴルフ場も現れます。



丘陵地は、牧草地になっていて、羊や牛が
のどかに寝そべっている姿が車窓に現れます。

列車は時速160km/hから180km/hで快適に走っています。
時折台車の振動が車内に伝わってきます。
線路の状態が悪いせいでしょうか。

30分程で、Hunchingtonを過ぎると、
荒涼とした感じの平原となりました。



空もどんよりと雲ってきました。
最果てに向かっている感じになってきます。

丘陵地と荒涼とした平原の景色を繰り返し、
時折教会のある小さな街を通り過ぎます。

イギリスは日本とよく似た島国と言った
イメージがあるのですが、
こうして車窓風景を眺めてると、
日本よりもはるかに人口密度は希薄で、
寂しい車窓風景が続いています。

日本とは異なり、険しい山が少ない為でしょうか。


そんな景色を繰り返すうち、
2時間程で、Yorkに着きました。



ここもドームに覆われた駅で、駅構内の
雰囲気はえもいわれぬものがあります。

このヨークには国立鉄道博物館があります。
世界に数ある鉄道博物館の中でも、
歴史と規模、その展示物の内容は
ずば抜けていて、鉄道ファンたるもの
訪れるべき場所になっていますが、
残念ながらそのままエディンバラに向かいます。

Yorkで乗客が入れ替わり、降りた人よりも
多くの人が乗り込み、車内は混みあってきました。

Yorkから再び、なだらかな丘陵地となりました。



美しい田園風景が車窓を流れていきます。
所々、菜の花畑が現れ、黄色い花が咲いていました。

田園風景に見とれるうちに、ウトウトしてしまい、
気がつくと、家が密集する様になってきました。
New Castleに近づいてきました。

街の中を流れるTyne川が深く切れ込んでいて、
列車は山側に迂回するのですが、
それでも高い位置で鉄橋を渡りました。
鉄橋を渡りカーブしながらNew Castle駅に到着です。




New Castleを出て、田園地帯を行きます。
いつしか青空が広がり、広々とした牧場で
草を食んでいる羊の姿が本当にのどかでした。



New Castleから30分ほどで、初めて海が見えました。
遠浅の海岸線。入り江に沿って、集落があります。
地図で確認するとAlnmouth Bayあたりでしょうか。



再び田園風景となりますが、しばらく走ると
また北海に沿って走る様になりました。

海岸段丘の上を列車は走っていて、
一段高い位置から海を見渡す事が出来ます。

海に落ち込む崖と線路との間は、
ごく狭い幅の牧草地になっています。


やがて、海岸沿いに家が立ち並びはじめました。



Berwick-upon-Tweedの街です。
北海に沿った美しい街で、
途中下車したくなるようなところです。

リゾート地として知られているのか、
大きな荷物を抱えた家族連れが
何人もこの駅で降りていきました。
夏の休暇を過す予定なのでしょうか。

Berwick-upon-Tweedを出ると再び海岸段丘の上を走り、
自然のままの海岸線を車内から楽しむことが出来ました。



このあたりはイングランドとスコットランドの国境付近。
人家もあまりなく、寂しく険しい海岸線です。

車窓に古城が現れたりするうち、
人家が増えてきて、エディンバラに近づいてきました。

London Kings Cross駅を出て、4時間半の旅。
のどかな田園風景、荒涼とした平原、
そして広々とした海岸線の景色と、
思いもかけぬ楽しい鉄道旅行でした。




エディンバラの旅行記は こちらです。

アバディーンからエディンバラへの鉄道旅行記は こちらです。




鉄道旅行へのいざない - Europe編- に戻る