High Speed Train from Frankfurt to Cologne





2002年8月、ケルンとフランクフルトの間に
ドイツ鉄道の高速線が開通しました。

ケルンとフランクフルトを結ぶ
在来線は河岸段丘の間を蛇行する
ライン川に沿って走っています。

ライン川の車窓風景は こちらです。


車窓の景色はとても素晴らしく、
この区間を食堂車でワイングラスを傾けながら
何度も流れゆくライン川を眺めていたものです。

しかしカーブが多く、最高速度が低く抑えられていて、
ケルン - フランクフルト間の所要時間は2時間を超え、
鉄道の利用はそれ程多くなかったようです。

そこで、ケルンとフランクフルト間に高速線を建設し、
ドイツ国鉄自慢のICE-3型が走る事になったのです。

所要時間は1時間10分程で一時間の時間短縮です。
300km/Hrの最高速度で、緩やかに起伏する丘陵を
突っ切って走る様子は圧巻です。


ICEはドイツ版の新幹線、"Inter City Express"の事で、
第一世代のICE-1が1991年から営業運転を始めています。
14両編成で、編成の両端に機関車が連結されています。



第二世代のICE-2は、7両編成の片側に機関車を連結し、
途中駅での分割併合を可能としたタイプで、
外観上もICE-1と殆ど変わりません。

ICE-3は動力分散型とし、最高速度も
330km/hまで、引き上げられています。
車体もスマートとなり、斬新なデザインです。



フランクフルト - ケルン間の高速線も
将来は330km/hまで速度が引き上げられる
予定ということです。


2002年と2007年の秋にこの路線に乗りました。
この時の様子を紹介します。






フランクフルト空港駅 - ケルン中央駅
(Frankfurt Flughafen - Koeln HBF)


乗車日:October 07, 2002


この高速線はフランクフルト空港を通るので、
日本からの出張でAachenに向かう途中、
ここからケルン迄の区間に乗車しました。

15:52にフランクフルト空港を定刻に発車した後、
しばらくアウトバーンと平走し、
やがてマイン川を渡りました。



マイン川を渡ると丘陵地帯に入ります。
列車はなだらかに続く丘陵の
起伏に沿って走って行きます。



建設費を削減する為になるべく
トンネルを少なくしたそうです。
そのために、掘割区間が続いていました。
防音壁も多くて、あまり車窓の展望は効きません。

それでも、時折丘陵の高い位置から
集落を見下ろす事が出来ました。



フランクフルト空港から15分ほどで、
リンブルグ南駅に到着しました。

周囲には造成地が広がるばかりで、
この高速線の為に作られた新駅です。

何人かの人が下車して行きましたが、
現時点では一日3往復しか停車していません。
未造成の駅前といい、まだまだこれからの様です。

リンブルグ南駅を発車して、
再び丘陵地を走りました。



どこまでもライン川に沿いながら
幾つもの古城を見ながら走る
在来線の景色に比べると単調ですが、
丘陵地に点在する集落の景色は
それはそれでなかなかいい景色です。




丘陵地の景色が続くうち、車内を見て周りました。
この列車は8両編成です。

先頭よりの2両が一等車で、その後ろに
カフェテリア車と2等車が続いています。

日曜日の今日、車内はかなり空いています。
フランクフルトとケルンを結ぶこの列車は
特別料金が設定されているし、ビジネス客を
ターゲットにした列車なのでしょう。




このICE-3は今までのICEとは異なり電車方式で、
しかも先頭車両からは運転手の頭越しに
前方の景色を見る事が出来ます。

乗車した列車では先頭車両が一等車だったのですが、
その一角だけは大変な混雑で、大勢の人が
運転手越しに前方の景色を楽しんでいました。

ICE-3 先頭車からの車窓風景はこちらです。



これはデッキ部分の様子です。
木目調のインテリアでとっても落ち着く感じです。


フランクフルト空港から45分ほどで、
丘陵地帯を抜け、街が現れてきました。
既にボン・ケルン郊外に差し掛かったようです。

いつのまにか既存の路線に乗り入れたようで、
郊外列車のS-Bahnの駅の脇をすり抜けたり
いくつもの線路が複雑に輻輳する様子を眺めていました。



時折徐行運転をするうちに市街地となりました。



将来、ICEの一大ターミナル駅になるという
煤けたケルン・メッセ駅をゆっくり通過し、
ライン川を渡り、ケルン中央駅に到着しました。



大聖堂のすぐ下にあるケルン中央駅。
フランクフルトから到着したICE-3は
大きなドーム上の屋根の下で
輝いているようでした。

ケルン中央駅は要衝の駅で、近郊列車や
ICEがひっきりなしに発着していました。







ケルン中央駅 - フランクフルト空港駅
(Koeln HBF - Frankfurt Flughafen)


乗車日:October 11, 2007


2007年10月、久しぶりにアーヘンへの出張がありました。

アーヘンでの仕事を終え、フランクフルトに向かい際に、
ボンに立ち寄ったのですが、ボンからフランクフルトに向かうには
ライン川沿いのルートよりもケルンに一旦戻って、
高速線を走るICEに乗ったほうが速いようです。

アーヘンの旅行記は
こちらです。
ボンの旅行記はこちらです。
ライン川の車窓風景はこちらです。

乗車したのは、ケルン中央駅発13:20の
ICE629列車、ミュンヘン行きです。

ミュンヘンの旅行記はこちらです。



ケルンからのICEは1等車を奮発したのですが、
列車に乗り込んでみると、列車の最後尾、
運転席のすぐ後ろの一角です。

車内は幸い空いていて、運転席のすぐ後ろの
席が空いていたので、そこに陣取って
運転席越しの景色を眺める事にしました。



ICE-3の運転席は車体の
幅方向の真ん中に位置しています。

少し高い位置にありますが、客席からも
十分線路を眺める事が出来ます。

座席に座ってしばらくすると、ケルンを発車。



ドーム屋根の駅の構内を次第に加速して行きます。

ライン川を渡り、しばらくは郊外列車の線路が併走し、
ICE-3もスピードを抑えて走ります。

ケルンへ向かうICE-3とすれ違いました。



ゾクゾクするような光景です。
車窓からは遠く古城も見ることが出来ました。




ケルンから15分程も走ると住宅街を抜け、
丘陵地を走るようになりました。

スピードを上げ、緩やかに起伏する
丘陵地を一気に貫いて走ります。



急勾配を高速で一気に駆け抜ける様子は
まさに目が覚めるような光景です。

ところで、ドイツの鉄道は一般には右側走行です。
最後尾に座って去り行く線路を眺めているので
左側の線路を走っているように見えています。

ところが、しばらく走った後に減速したと思ったら
ポイントをわたり、左側の線路を走り出しました。
その後、通常とは反対の左側の線路を
高速で走り出しました。



5分から10分毎に列車が走っている新幹線では
信じられない光景です。

海外では日本のように厳格に上下線の列車を区分せず、
単線の線路が併走していると考えた運用をしていて、
このICE-3のように反対側を走ることがあるというのは
知識では知っていましたが、300km/hで
反対側を走っているのはさすがに怖く、
落ち着きませんでした。

しばらく走ったSiegburgで再び減速し、
ポイントをわたって元の線路に戻りました。



途中、工事をしている様子も、
他の列車を追い抜く事もなかったので、
何故、反対側の線路を走ったのかは
わかりませんでした。


Siegburgからは再び、のどかな
丘陵地の景色が広がってきました。



そしてケルンからフランクフルト空港駅までの
191kmを52分で駆け抜けました。



フランクフルト空港駅の駅名標です。



鉄道旅行へのいざない - Europe編- に戻る