大井川流域・牧之原台地
Ohigawa, Japan








大井川は静岡県、山梨県そして長野県の
県境が接している南アルプス・間ノ岳付近を源流とし
赤石山脈と白根山脈の間の急峻な山間を下り
駿河湾に注ぐ延長168kmの大河です。




古くは、この大井川が駿河と遠江の国境で、
江戸時代、西国からの侵攻を懸念した江戸幕府が
架橋だけでなく船での渡しも禁止した為、
東海道一の難所となっていました。



東海道新幹線から眺める夕暮れの大井川。

東海道新幹線は、あっという間に
大井川を渡ってしまいますが、
この大井川の眺めは好きな景色の一つです。


山深く、お茶畑の中を蛇行して流れる
大井川の姿などを紹介しようと思います。


大井川に沿って走る大井川鐡道の
乗車記はこちらです。




牧之原台地
(Mikinohara Plateau)
Sep. 08, '11


蓬莱橋
(Hourai Bridge)
Sep. 11, '11


大井川に沿って (1)
蓬莱橋 〜 SLの見える丘公園
(from Hourai Bridge to SL View Park)
Sep. 13, '11

大井川に沿って (2)
SLの見える丘公園 〜 千頭
(from SL View Park to Senzu)
NEW ! Sep. 18, '11

大井川に沿って (3)
千頭 〜 源流域
(from Senzu to Headwater)





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牧之原台地
(Mikinohara Plateau)







牧之原台地は、大井川下流部の
西側に広がる台地です。




標高は50mから200m程で、地理で習う
台地の典型的な地形と思っています。

東海道新幹線はこの牧之原台地を
トンネルで通過してしまうので車窓から
その様子を窺い知る事は出来ませんが、
ここは一面の茶畑になっています。


2009年のGWに、この牧之原台地を
自転車で走る機会がありました。



JR東海道本線の金谷駅で下車し、
ここから牧之原台地へと
急な坂道を上りました。

坂道を上るにつれ、茶畑の向こうに、
金谷の街が広がるようになりました。



この日は良く晴れた一日で高台から金谷の
街を見下ろす景色が広がっていました。



JR東海道本線から分岐して、大きな弧を
描いている大井川鐡道の鉄橋の上を、
列車が走っている様子が眺められました。


こうして牧之原台地に上がると
そこは一面の茶畑でした。



明治時代になってから無禄士族対策として
牧之原台地の開拓が行われたそうです。

その際に、茶を植える事が推奨され、
現在のような茶畑が広がったという事ですが
現在のような茶畑が出来るまでには
かなりの艱難があったそうです。

今では牧之原台地は、静岡で
最もお茶の生産高が高いそうで、
ひいては全国でも1番の茶所です。



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蓬莱橋
(Hourai Bridge)







牧之原台地の茶畑の景色から、
大井川に臨む断崖を駆け下ると
そこに蓬莱橋がありました。



蓬莱橋は、牧之原台地の開拓を行っていた人たちの
島田の町に行く為の便として、1879年(明治12年)に
完成した木製の橋です。




全長は897mにもおよび、現在では橋脚は
コンクリート製になっているそうですが
世界一長い木橋としてギネスブックにも
認定されているそうです

蓬莱橋を渡り始めて眺めた下流の様子です。



この方向には、遠く新幹線の
大井川鉄橋がある筈です。

こちらは上流を眺めた様子です。



この辺りは大井川が右岸にある
牧之原台地を削るように流れ、
台地の端が崖の様になっていました。


ギネスブックに登録された為か、
この蓬莱橋の人気が高まり
観光バスで訪れる方も多いようですが、
この日は10人程の人とすれ違ったぐらいでした。


全長897mの蓬莱橋をほぼ渡り終えた頃
右岸の方向を眺めた様子です。



牧之原台地に向かって一直線に
伸びる木橋が印象的でした。

川を渡る風が心地よく吹いていました。


蓬莱橋の橋脚の様子です。



コンクリート製に変わったといっても
細い橋脚やその作りは昔ながらの
木橋の雰囲気を伝えていました。

橋の袂にはギネスブック登録を示す
プレートが展示されていました。



ちなみに蓬莱橋は有料で、
渡橋には100円が必要です。



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大井川に沿って (1)
蓬莱橋 〜 SLの見える丘公園

(Ohi River from Hourai Bridge to SL View Park)

F SLの見える丘公園


C 鵜網付近


相賀 第二東名架橋付近


@ 蓬莱橋











E 久奈平付近


B 神座付近


A JR東海道線・大井川鉄橋


東海道新幹線大井川鉄橋から






JR東海道本線大井川鉄橋


蓬莱橋から広い大井川の河原を北に向かうと、
武骨な2つの鉄橋が見えてきました。



このトラス橋がJR東海道本線の
大井川橋梁です。

この区間は1889年(明治22年)に開業しています。
大井川を渡る島田 - 金谷間が複線化されたのは
1912年(明治45年)で、翌年に複線化された天竜川橋梁に続き
東海道本線では最も遅く複線化された区間の一つでした。


上下線の間から見上げた橋梁の様子です。



左が下り線、右が上り線です。
幾何学模様の橋梁がとても綺麗でした。


下り線は明治時代の橋脚に1914年(大正3年)製の
16連の下路曲弦プラットトラスという
形式の橋桁が架かっています。

上り線は1959年(昭和34年)製で、
それまでの46年間使われていた橋梁は
長良川鉄道の長良川橋梁や、越美北線の
九頭竜川橋梁に今でも使われているそうです。





相賀 第二東名架橋付近


JR東海道本線の大井川橋梁から
大井川の河原を北に向かいます。

河原はとても広く、
大井川の流れは見られません。



国道一号線の大井川橋を過ぎたあたりが
江戸時代の大井川越だったのでしょうか。

昔の宿場の様子や川会所が残っているそうで
一度訪れてみたいところです。



やがて大井川の流れが見えるようになり
国道1号線バイパスの大井川橋梁が見えてきました。




この辺りになると周囲に山が迫るようになり、
南アルプスから続く山々の間を
蛇行して流れてきた大井川が平野へと
顔を出す地点にさしかかります。

第二東名の大井川橋梁が遠くに見えて来ました。







神座付近


第二東名のコンクリート橋をくぐる所で、
大井川の流れが左岸を削るように
蛇行していました。



正面に見える山は
標高870mの経塚山です。

この淵を抜けると神座の集落です。



大井川に沿う長細い平地に茶畑が広がり
その先の崖には蜜柑畑が広がっていました。




JAの生協もある神座の集落の端に、
由緒ありそうな神社がありました。







鵜網付近


神座の集落も、大井川の蛇行で
平地が無くなり途切れてしまいます。

大きく回り込んでいる大井川の
流れを高い位置から眺めました。



この先の集落が鵜網です。




平地が広がるとここでも
茶畑が広がっていました。



鵜網という地名、ひょっとして
昔はここに鵜がいたのでしょうか。





久奈平付近


鵜網を過ぎると、再び大井川は大きく蛇行します。



大井川左岸を走っている道は、
大井川の流れに忠実に沿っていましたが
この先の蛇行はあまりにも大きいので
大井川に半島の様に突き出した
山の先にある鍋島という集落には
立ち寄らずにトンネルでショートカットしています。




この先で、大井川は真っ直ぐ流れています。
この辺りが久奈平です。



大井川の川幅はこの辺りでも
かなり広がっています。

対岸には
大井川鐡道が走っているようですが
その線路は、遠くて見えませんでした。





SLの見える丘公園


久奈平から更に北上します。
この先、家山駅の対岸の川根中学校の
辺りにまとまった集落がありました。

川根茶で有名な旧川根町(現在は島田市)の
中心街はこの辺りだったのでしょうか。




その先で大井川の淵が迫り、左岸の道路は
崖を上るように勾配になって行きます。



対岸に桜並木が見えてきました。
4月には綺麗な光景になるのでしょう。

勾配を上りきると、前方の視界が開け
素晴らしい光景が開けて来ました。



大井川鐡道の鉄橋を見渡す景色から
このスポットは「SLの見える丘公園」
と名付けられているようです。


大井川鐡道では蒸気機関車(SL)の
保存運転を行っており、
この鉄橋をSLが渡る光景は
さぞ迫力のあるものだと思います。



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大井川に沿って (2)
SLの見える丘公園 〜 千頭

(Ohi River from SL View Park to Senzu)

千頭駅


L 道の駅「茶茗舘」


J 下泉駅付近


H 地名










M 千代橋


K 川根本町


I 塩郷ダム


G 笹間川ダム





笹間川ダム


SLの見える丘公園の眺めを堪能して坂を下ると、
大井川鐡道の川根温泉笹間渡駅前を過ぎました。



地方のローカル線では、鉄道の駅など
無視されるところが多いのに、
駅前通りに立派な案内標識が
立っているのが印象的でした。


この川根温泉笹間渡駅前を過ぎると、
大井川左岸に沿っていた道は大井川と別れ、
支流の笹間川の谷に分け入ります。




この周辺は切り立った山々の間を
大井川が極端に蛇行していて、
険しい山容に、大井川に沿っては
道路も建設できなかったようです。

この辺りの大井川は鵜山七曲として知られ
昔は景勝の地だったようです。

急坂を上り、笹間川の谷を渡り
初瀬トンネルへと向かいます。



トンネルの手前の、谷を渡る橋梁は
谷との高さが50m程もあって、
脚が竦みそうでした。

トンネルを抜けると笹間川ダム
で出来たダム湖の畔を走りました。








地名


この笹間ダムのダム湖沿いを走り
トンネルを抜けると、再び大井川沿いとなり
地名の集落に至りました。



平地に広がる茶畑。

何度も続く、この茶畑と
蛇行する大井川の眺めが
とても素晴らしかったです。

地名の先で、大井川が180°流れを
変えるところを見渡すことが出来ました。



とても雄大で素晴らしい光景でした。


その昔、ドイツのモーゼル川の流域で
このような光景を見た記憶があります。

ドイツの旅行記は
こちらです。






塩郷ダム


地名の上流が塩郷の集落です。




集落を過ぎたところに急勾配があり、
そこを抜けると大井川本流にダムがありました。



ダム湖は満々と水を貯めていました。




大井川は、山間を流れている時にも
河原がとても広く、その広い河原に
幾筋かの細い流れが流れています。

塩郷ダムの下流の様子です。



しかし、この光景はごく最近のものだそうです。
江戸時代、大井川は水流豊富な急流で、
平均水深は76cmもあったそうです。

その大井川が今のような枯川になってしまったのは
上流にあるこのようなダムによる取水です。

それでも最近は、下流への放流を義務付けているようで
少しばかりですが、大井川の流れが戻っているようです。





下泉駅付近


塩郷ダムから更に大井川を遡ります。
この先で
大井川鐡道の線路と並走します。

山が迫っていますが、僅かに平地が広がると、
必ずこの茶畑の景色が広がりました。



ここは横郷の集落あたりでしょうか。




横郷を過ぎると大井川鐡道
線路はトンネルに入りますが、
道路は大井川にせり出す
山肌を上って越えていきます。


このカーブを抜けると、大井川の支流に架かる
大井川鐡道の鉄橋を見下ろすようになりました。



赤い鉄橋がアクセントになっていい景色です。

勾配を下ると、下泉駅前に差し掛かりました。



古く落ち着いた下泉駅の駅舎です。

SL列車も停車する駅ですが
2007年の一日当たりの乗客数は
僅か57名だそうです。





川根本町


下泉駅を過ぎると、大井川を渡りました。



川幅の広い大井川には下流域にはあまり橋がなく、
国道1号線バイパスから上流は、
20km程遡った家山辺りまで橋がありませんでしたが、
さすがに川幅も狭くなり、時折橋が架けられています。




この橋を渡ると川根本町の集落に入りました。

川根本町は
「にほんの里100選」
選ばれているそうです。

ゆったりと流れる大井川、
そして川根茶の本場の町。

「おくひかり」や「山の息吹」といった
品種が植えられているそうです。

お茶畑の景色もとても美しく、
「日本の里」に相応しい町と思います。


集落にあった由緒ありそうな神社です。



この神社が集落の端に位置しており、
この先は再び大井川の流れを見下ろす
崖の上を走るようになりました。



広い河原を誇った大井川も、この辺りでは
さすがに周囲に山が迫ってきていました。





道の駅「茶茗舘」


川根本町を過ぎると、
道の駅が現れました。




フォーレなかかわね茶茗舘です。
1994年(平成6年)に完成しているそうです。



広々と芝生が植えられ、
ゆっくりと時を過ごすには最適です。

ここで頂いたお茶はとても美味しかったです。
ここでは、縄文時代から続く川根本町の歴史や
数百年の伝統を持つ茶業の歴史の展示もあり、
国指定重要無形民俗文化財『徳山の盆踊』の
映像も鑑賞する事が出来るそうです。



茶茗舘からは、一面の茶畑を望む事が出来ます。



大井川鐡道の電車が茶畑の向こうを、
ゆっくりと走り去って行きました。





千代橋


フォーレなかかわね茶茗舘を過ぎると、
大井川は複雑に入り組んだ山々の
合間を激しく蛇行するようになります。




平地も尽き、山が大井川に落ち込む
崖の所を、細い道となって進んでいきます。

大井川鐡道の崎平駅を過ぎたところで
再び大井川を渡りました。



周囲の山々もかなり険しくなっています。
この先のトンネルを抜けると
台地が広がり、集落が現れました。



千頭周辺の集落です。
この先で左折し、千代橋を渡ると
千頭駅へと至ります。

この時、遠くで蒸気機関車の汽笛が
谷間に鳴り渡りました。



千代橋へと急ぐと、丁度蒸気機関車が
鉄橋を渡るところを眺める事が出来ました。

蒸気機関車の汽笛の音が谷にこだまし、
煙がたなびき、素晴らしい瞬間でした。





千頭駅


千代橋を渡るといよいよ千頭駅です。




大井川鐡道に並走する道路から
千頭駅の構内が良く見えています。



千頭駅は大井川鐡道の大井川本線の終点。
始点の金谷駅から39.5kmの距離にあります。



ここから更に延長25.5kmの井川線が出ています。



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