塩田平 〜 別所温泉
Shiota Daira and Bessho Hot Spring, Japan








塩田平



上田から別所温泉行きの上田交通の電車で
揺られること20分程で、塩田町に着きます。
上田交通の様子はこちらです。


別所温泉からこの辺りにかけては『信州の鎌倉』と呼ばれ、
鎌倉時代の古刹や塔が点在しています。

執権・北条義時の子・重時と孫・義政が
信濃国守護としてこの地に居を構え、
鎌倉に倣った都つくりをした為だそうです。


塩田町の駅から、この信州の鎌倉を歩いて巡ってきました。

駅の辺りは田圃が広がるのどかな景色で、
この平地は塩田平と呼ばれています。

夏の暑い日差しの中、まずは駅から南に向かい、
緩やかな坂道を歩いて行きました。



田圃が尽き、山道を上ったところに前山寺があります。
駅から20分以上は歩いたでしょうか。

上り階段の先の山門をくぐると、本堂が現れました。
茅葺屋根に紫の幕の取り合わせが綺麗です。



その先、一段高くなった境内には三重の塔があります。
塩田平にいくつかある塔の中でも、有名な塔の一つです。
建立室町時代末期で、国の重要文化財に指定されているそうです。



この塔は一層目は完成されていますが、
二層目、三層目は縁や欄干が取り付けられておらず、
まだ未完の状態とのことです。

未完成ながらよく調和を保っていて、
『未完成の完成塔』と言われているそうです。

実際に塔を見ても未完という事には
全く気が付きませんでした。
それ程、均整がとれていたという事なのでしょうか。


前山寺を出て塩田城跡を歩き、
山懐に沿って西に向かいました。
次ぎの古刹は、龍光院です。

これは龍光院に向かう途中で眺めた塩田平の眺めです。



盆地状の塩田平が目の前に広がり、
気持ちのいい景色です。

そして龍光院。
黒い歴史を感じさせる門構えです。



この龍光院は1282年の建立。
塩田北条氏の菩提寺だったお寺だそうです。

この門から、山の中腹にある本堂に向かって
階段が続いていたのですが、歩き疲れていたので、
少し上ったところで引き返してしまいました。


龍光院の次は、塩野神社を抜け、中禅寺に向かいました。
中禅寺はこのあたりで最も古いお寺と言われています。

この中禅寺で有名なのが、国の重要文化財・薬師堂です。
日本で最も古い時期に作られたと言われる
仁王像のある門に護られています。



薬師堂はとても端正な造りです。
茅葺の屋根が周囲の緑に溶け込んで、
とてもいい雰囲気を醸し出していました。


時刻は4時過ぎ。
夏の強い日差しもようやく弱まってきました。

中禅寺を訪れた後、いよいよ別所温泉に向かいました。
別所温泉は、中禅寺から2km程離れていて、
上田交通の信州の鎌倉線というシャトルバスで移動しました。
別所温泉までは僅か10分ほどです。




別所温泉



別所温泉は、塩田平の盆地が尽きた山懐にありました。
枕草子にも「七久里の湯」と記された古い温泉です。


別所温泉は温泉だけでなく、「信州の鎌倉」の名の通り、
いくつもの名刹が点在しています。

まずは温泉の北側にある常楽寺に行きました。



赤い花が本堂の茅葺屋根に映えて綺麗でした。
この常楽寺で有名なのが本堂裏の石造多宝塔です。
今から約700年頃の石塔が杉林の中にひっそりと佇んでいました。

この常楽寺の隣にあるのが安楽寺です。



古めかしい門を抜け境内に入ります。
この安楽寺には、国宝の三重の塔があります。
本堂の脇を抜け、山の斜面の階段を上っていくと、
木々の間に三重の塔が見えてきました。

この三重の塔は日本で唯一八角形の屋根を持っています。
写真では4重に見えるのですが、一番下は
裳階という庇のようなものだそうです。



逆光を浴びて輝くような感じです。

山の中腹に立てられているので、更に階段を
上れば塔を高い位置から見られそうですが、
"塔は見下げるものでなく、見上げて拝むものです"
という趣旨の看板が立っていました。

安楽寺を出て、多分花菖蒲だったと思いますが、
花が咲いている湿原を見ながら、温泉街に分け入り、
谷の反対側にある北向観音に向かいました。

北向観音は825年建立で、先ほど訪れた常楽寺の坊です。
観音堂が北を向き、長野の善光寺と向き合っていて、
この二つを拝まないと願いが叶わないということで、
多くの参拝客が訪れているそうです。

境内には、「愛染かつら」のヒントになったという
桂の大木がありました。



そして、崖にへばりつくように建てられた医王尊瑠璃殿。
どのように建てられたのか不思議な建物でした。


池波正太郎の「真田太平記」にも真田幸村が
お忍びでこの別所温泉に来る場面が描かれています。

史実では真田幸村が別所温泉の湯に
浸かった事を示す資料はないそうですが、
居城のある上田から程近いところに
別所温泉のような名湯があるのに、
来なかったとは考えられないという
池波正太郎氏の言葉は的を得ていると思いました。



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