Michigan Service (Chicago - Pontiac)





Michigan Serviceは、Amtrakの一大拠点Chicagoを起点に、
Detroitの北Pontiac迄の302mile(約480km)の路線です。

Amtrakの列車はこの区間を約6時間半かけて走ります。
本数は1日3往復。日本の常識からすると、超閑散線ですが、
Amtrakの路線で1日3往復というのは、比較的多い方です。

この路線には、4度ほど乗ったことがあります。


初めて乗ったのは、1996年の春。確か4月5日のEasterの休日でした。
Amtrakに乗る為だけに、Chicagoまで往復したのです。

この日の朝、自宅から約30km程離れた、大学町Ann Arborに向かい、
ここからChicagoに向かいました。
この日、まだ春浅いMichiganでは、確か気温は5℃程度。
体が緊張するくらいの、寒いよく晴れた朝でした。



7:15am発のChicago行きと、Chicago発2:05pmの予約を取り、
列車の到着を待ちます。

心踊るひととき。



やがて、朝靄をついて5両編成の列車が定刻に到着しました。
機関車が最後尾に付いたプッシュ・プル・トレインです。
5両のうち一両はClub Car(いわば一等車)とCafe Carの合同車両です。
Cafe Carにはテーブル付きの座席が付いていて、
売店で買ったサンドイッチやホットドッグ等を、
味わうことが出来るのです。


車内は思ったよりも混んでいました。
確か席の半分近くは埋まっていたように思います。
その後何度か利用して分かったのですが、
祝日にはかなり込み合う様です。

発車してすぐ、Ann Arborを流れるハドソン川沿いを走り、
やがて広大な原野を走ります。Michiganの平原です。
なだらかな起伏の広大な畑や牧草地に、
原生林が入り交じる景色が延々と続きます。



所々、鏡を写したように静まり返っている小さな沼や池が、
車窓に現れては遠ざかっていきます。
列車の轟音に驚いたのか、野生の鹿が走り去って行きました。

途中、いくつか小さな集落を通り過ぎます。
今は駅もありませんが、列車は街の中心部を通ります。
昔はこれらの街も鉄道を中心に栄えたのでしょう、


Jacksonを過ぎ、コーンフレークで有名なケロッグ社の本社のある
Battle Creakに近づくと、突然、吹雪模様になりました。
Battle Creakの真新しい駅舎にうっすら雪が積もっています。
でもBattle Creakを出ると、雪雲はあっという間に消え去り、
また青空が広がりました。

Battle Creakでは発車後、ポイントをいくつも渡り、
引込線の様な線路に入っていきました。
Battle Creakから、Michigan Cityまでの108mileの区間は
Amtrakが旧Corn Railから買い上げた専用線です。

これにはちょっと説明が要りますね。
アメリカでは鉄道の主力は貨物輸なのです。
ユニオンパシフックやグレートノーザン鉄道等、
北米のほとんどすべての路線は貨物鉄道が所有していて、
Amtrakはこれらの路線を借りて列車を走らせているのです。

日本ではJR東日本等の旅客鉄道会社が線路を保有していて、
そこにJR貨物が列車を走らせているのと、丁度正反対です。

でもAmtrakも数少ないながら自前の線路を持っているのです。
ボストン - ニューヨーク - ワシントン間のNorth East Corridorと、
もう一つがこのBattle Creak - Michigan City間なのです。

North East CorridorはAmtrakの中でも最重要区間で、
ニューヨーク - ワシントン間でほぼ毎時2本、最頻区間である
ニューヨーク - フィラデルフィア間では毎時3本の列車が走り、
年間乗客数は1,000万人以上。

Amtrakは驚くことに、航空会社を含め、
ニューヨーク - ワシントン間で最も多くの乗客を運ぶ旅客輸送会社で、
さらに今年末からは200Km/Hで走る高速旅客列車Acelaが
ニューヨーク - ワシントンン間を結ぶことになっています。

North East Corridorは、こんな重要な区間なので、
Amtrakが自前の線路を持つのは納得がいきますが、
僅か3往復の列車の為にBattle Creak - Michigan city間の
線路を維持するのは too muchの様に思えます。
そのせいかどうかはわかりませんが、
このMichigan Serviceの列車は、$1稼ぐのに
$ 3.66かかるという最も収益率の悪い区間だそうです。
(RailNews, Issue 418, September 1998)

でも、将来はこのMichigan Serviseの区間にも高速列車を走らせ、
Chicago - Detroitを4時間以内に結ぶ計画がある様です。
その時、この専用線はきっと威力を発揮することになるでしょう。

West Michigan Universityのある大学町、Karamazoo。
列車は大学の構内を走りぬけ、
いよいよMichigan州を行け、Indiana州に入ります。



これはMichigan州最後の停車駅Neils。
煉瓦造りのしゃれた駅舎です。

Indiana州に入った最初の駅がMichigan city。Michigan湖畔の街。
Michigan湖に何漕ものヨットが停泊しているのが見えました。
ここで、時計の針を一時間戻します。

この辺りはもうChicago都市圏で、しばらく行くと、
大製鉄所の中を走るようになります。
Chicagの郊外鉄道が並走するようになるとGary。
かのマイケル・ジャクソンの生まれた街、
また、U.S. Steelの企業城下街なのですが、
鉄鉱業の衰えと共に治安が悪化し、
人口当たりの殺人発生率が全米一なのだそうです。

Michigan湖畔遠くにChikagoのSky lineが見えてきます。
Free way I-90が車窓左側を並走し、
やがで、列車はこのFree wayをOver crossします。
Free wayの先にChicagoのSky lineが見えます。



そして、列車はChicago南部へと足を踏み入れます。
周りの街の様子は、もう目を覆いたくなるばかりです。
焼き払われた家が点在し、残っている家も高いフェンスで覆われ、
まるで鳥かごの中に暮らしているようです。
停めてある車のほとんどは、ボロボロに朽ち果てたものばかりです。

自分一人なら決して足を踏み入れられない、
廃虚の様な街が目の前に広がっていました。
これが残念ながらアメリカの一つの現実なのでしょう。。。

やがてシアーズ・タワーが近づき、Chicago Union Stationに着きました。
変化に富んだMichigan Serviceの旅が終わりました。


Chicagoの街の様子は、 こちらです。



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