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鉄道旅行へのいざない



岩手開発鉄道 (盛 - 岩手石橋)
Iwate Kaihatsu Railway (Sakari - Iwate Ishibashi)


乗車日:Jan 11, 1992


岩手開発鉄道は、岩手県の盛と岩手石橋を結ぶ鉄道です。

きっと「岩手開発鉄道」という名前を聞いても、
きっとピンと来ないと思います。
よっぽどの鉄道ファンでない限り、
その存在を知らないのではないかと思います。
ちなみに盛は、岩手県大船渡市内にあります。

岩手開発鉄道の主力は貨物です。
岩手石橋で産出される石灰岩を盛港まで
輸送する目的で、設立された鉄道です。

旅客列車は申し訳け程度に営業されていました。
一日僅か3本です。午前中7時台に2往復、
午後4時過ぎに1往復するだけでした。



長い間、岩手開発鉄道の時刻が、
時刻表の片隅に掲載されていたのですが、
1992年3月31日に旅客営業が廃止になってしまいました。


岩手開発鉄道には、廃止直前に乗りに出掛けました。
当時住んでいた宇都宮から早朝新幹線に乗り、
仙台から在来線に乗り継ぎ、気仙沼経由で
午後3時半頃、盛に着きました。

盛駅周辺でしばらく時間を潰したあと、
いよいよ岩手開発鉄道の路線に乗ります。
午後4時53分の岩手石橋行き、最終列車です。

岩手開発鉄道の盛駅は、JRや三陸鉄道の盛駅からは
遠く離れ、一旦改札を出た後、商店街を100mか200m程
北に向かい、踏切を渡ったところにありました。




何本もの線路が輻輳するJRの構内の片隅に、
短いホームがあって、狭い待合室がポツンと乗っています。

冬の短い日が落ち、列車がホームに回送されてきた時には、
もうすっかり暗くなっていました。

列車は一両編成の気動車で、切妻形状でロングシートと、
味もそっけもない列車です。
土曜の夕方とあって、他におばさんが一人乗っただけでした。
そんな空いた列車なのに、車掌さんが乗っていました。

ロングシートの片隅に座り、発車を待つうち、
ふいに胸が締め付けられるような気持ちになりました。


列車は定刻に発車し、盛の市街地を抜けると
狭い谷あいに分け入った様です。
一緒に乗り込んだおばさんは、途中駅で、
降りていってしまいました。
これで乗客は、僕一人だけとなってしまいました。

暗闇の中をしばらく進むうち、勾配がきつくなりました。
やがて、列車は一旦停止し、反対方向に進みだしました。
終点、岩手石橋です。
鉱山のある駅に進入するのに、スイッチバックしたのです。



岩手石橋の駅は貨物駅そのもので、あたりが暗いせいか、
周囲に住宅すら見当たりませんでした。
もとより、盛に戻る折り返しの列車の発車まで、
5分しかなく、ホームに下りて、
写真を撮って再び車内に戻りました。


この日は、盛駅前の旅館で寂しい一夜を過ごし、
翌日早朝の列車で三陸海岸を北上しました。
翌日乗った三陸鉄道の様子は、 こちら です。



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