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Shane旅日記
鉄道旅行へのいざない



富士急行鉄道
Fujikyu Line



乗車日:Jan. 05, 2007






富士急行鉄道は中央本線の大月から
河口湖までの26.6kmの私鉄路線です。

歴史的な背景や、富士吉田で方向転換する為
大月 - 富士吉田間の大月線23.6kmと、
富士吉田 - 河口湖間、3.0knの河口湖線の
二つの路線に分かれています。

大月線は、登山客らを運ぶために富士山登山の拠点
吉田(現在の富士吉田市)と、大月を結ぶ為に建設された
富士馬車鉄道と都留馬車鉄道を前身としています。

その後電化され、両社は合併するのですが、
馬車鉄道時代の併用軌道では速度も遅く、
急増する旅客を運びきれない為、
富士山麓電気鉄道が1929年(昭和4年)6月19日に
大月 - 富士吉田間に新線を開業させています。

一方、富士吉田 - 河口湖間の開業は
1950年(昭和25年)8月24日で、これにより
現在の富士急行鉄道の全線が開業しています。

現在の富士急行鉄道は富士山への観光客だけでなく、
朝夕の通勤時間帯に東京への直通電車も運行されています。


「ワイドビューふじかわ」で身延線経由で甲府に着いた後
大月に向かい、13:35発の河口湖行き電車に乗車しました。

「ワイドビューふじかわ」の乗車記はこちらです。




大月駅の西側の富士急行線ホームに
2両編成の電車が停まっていましたが、
その前に2両車両を増結して、発車しました。



発車して中央本線のレールに寄り添ったかと思うと
すぐに左にカーブを切り、桂川沿いの渓谷に分け入ります。

カーブも勾配もきつく、山岳路線と言った雰囲気もしますが、
やがて周囲に田畑が広がるのどかな景色となりました。



列車の正面に富士山が手前の
山の上にその頂を見せています。



大月から富士吉田までの区間は、南西にある
富士山の方角に向かって真っ直ぐ進んでいきます。
午後は逆光になってしまいますが富士山が良く見えそうです。

のどかな車窓に立派な高速道路が見えてきました。



1969年(昭和45年)に開通した中央自動車道の河口湖線です。

富士山麓の観光地に向かうのに、
アクセスの便利なこの高速道路は
富士急行鉄道にとっては大きな脅威でしょう。

富士急行も休日や観光シーズンには
東京からの直通快速列車を運行したり、
中央本線の特急列車と接続する「フジサン特急」を走らせ、
少しでも観光客の利用促進を図っています。

ちなみに、多くの会社がまだお正月休みと思われる
1月5日の午後の河口湖行きはガラガラで、
殆ど観光客らしい人の姿は見当たりませんでした。



富士山の頂が車窓左手に見え隠れするうちうに
大月から15分ほどで都留市に到着しました。



都留市は富士急行の沿線にある随一の街です。

この都留市駅はその代表駅になっているのですが、
街の中心は隣の谷村駅に近く、また2004年に
都留文科大学前駅が開業すると、
特急列車の停車駅を都留文科大学前に
奪われてしまい、ちょっといたいけな感じの駅です。

そんな経緯もあって、都留市駅は気になっていた駅なのですが、
駅名板を写真に収め、少しでも都留市駅への慰めが出来ました。


都留市を出ても相変わらずのどかな車窓風景が続きました。



車窓右手には遠く日を浴びた山々も見えています。
地図で確認すると三ツ峠山でしょうか。

周囲に山が迫り勾配を上っていくと三つ峠駅。
そしてこの三つ峠駅を過ぎると周囲の山が開け、
富士山の端正な姿が見えてきました。



この富士山の眺めに、左手の車窓に釘付けでした。
逆光にはなっていますが、山頂付近の雪が
日を浴びて輝いています。

この景色を眺めるうちに、富士吉田駅に到着です。



ここで、僅かの停車時間の後、進行方向を変えて発車です。
富士吉田から河口湖へは富士の裾野を東から西に走るので、
左手の車窓に富士山が間近に見えています。



富士山の端正な山容を眺めながら
富士急ハイランドの遊園地の脇を走り、
やがて列車は終着の河口湖駅に到着しました。



各駅に停車しながら大月駅から53分の所要時間でした。

河口湖駅はお洒落な山小屋風の駅舎で、
富士山麓各地への接続バスの乗り場がありました。

その一角に古い、しかし整備された
電車が展示されていました。



1929年(昭和4年)に富士山麓電気鉄道が
大月 - 富士吉田間を開業させた時に
新造した車両で、「モ1号」という電車です。

富士急行線は最大40‰の急勾配があるため、
電気ブレーキや砂撒き器を備えた当時としては
最新鋭の車両だったようです。


河口湖駅では、40分程の待ち時間で、
15:10発の「フジサン特急12号」で大月に戻る予定です。

40分というと、河口湖にも足を伸ばすにも中途半端です。
せっかく河口湖まで来たので、もっとゆっくりしたかったのですが、
是非この「フジサン特急」に乗りたかったので、
このような予定になってしまいました。

河口湖畔には2005年11月に訪れました。
その時の様子はこちらです。

「フジサン特急」は2002年(平成14年)2月28日から、
運行を開始した特急です。



富士急行は、JR東日本の6両編成の観光用列車
「パノラマエクスプレスアルプス」号の車両を譲り受け、
これを3両編成に分割して運用しています。

従って、おなじ「フジサン特急」といっても富士吉田側に、
展望車が付き富士山の眺望を楽しめる列車と
展望車が大月側に付いている列車と二通りあります。

今度乗車する「フジサン特急12号」は富士吉田側にあり、
展望室から富士山が眺められる事は確認してあります。

定刻のかなり前に駅の構内に入り、
展望車の一番前の席を確保しました。



展望車は12席、300円の特急料金の他に
100円の着席料金が必要です。

かなり前から展望車に座って発車を待っていたのですが、
他の乗客は来ないうちに発車時間が迫ります。
発車間際になって、カナダからのご夫婦が乗り込み、
定刻に発車しました。

先程、大月からの車内で見た景色が
逆戻りするように車窓を流れていきます。

富士吉田でスイッチバックすると、
展望車が車両の最後尾となり、
富士山の姿が迫るように見えてきました。



冬の短い日は西に傾き、空が黄金色に染まり始めています。
その空を背景に富士山がシルエットで浮かび上がっていました。
夕陽の輝きが一番変化する時に差し掛かったようです。

なんとも言えない素晴らしい景色に
何度もカメラのシャッターを押していました。

やがて夕暮れ迫り、逆光に二本のレールが
光る様子も心を打つ景色でした。



富士山の眺めを堪能出来た
富士急行鉄道の旅でした。



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