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鷹巣、終点は角館で、起点と 終点は夫々、JR奥羽本線と JR田沢湖線に接続しています。 秋田内陸縦貫鉄道は、1986年に 旧国鉄の角館線(角館 - 松葉)と 阿仁合線(鷹巣 - 比立内)を 引き継いで開業した 第三セクターの鉄道です。 開業は、1986年(昭和51年)です。 この時は旧角館線は秋田内陸北線、 旧松葉線は秋田内陸南線と、 二つに分かれていました。 1989年(平成元年)に、南北線を繋ぐ 新線が松葉 - 比立内間に開業し、 今の姿になっています。 正式な路線名は秋田内陸線といい、 営業キロは94.2kmです。 2012年に「あきた※美人ライン」 という愛称名が付けられています。 【註】 ※はハートマークです この秋田内陸縦貫鉄道の沿線は 人口密度が少なく、また沿線の 高齢化や過疎化も進み 利用客が減少しています。 全線が開業した1989年には 560人/日だった輸送密度が 2010年には340人/日にまで 落ち込んでいます。 |
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角館 - 松葉
(Kakunodate - Matsuba)
2009年10月、角館の町を散策した後に、
秋田内陸縦貫鉄道の角館駅に向かいました。
角館の散策記はこちらです。
秋田内陸縦貫鉄道の角館駅は
JR田沢湖線の角館駅に隣接しています。
2009年10月10日、角館の町を散策した後に、
秋田内陸縦貫鉄道に乗車しました。
乗車した列車は 11:10 の急行「もりよし2号」でした。
秋田内陸縦貫鉄道が全線開通した1989年に
製造配置されたAN8900系という車両です。
長らく急行「もりよし」に運用されていましたが
2012年以降は、臨時列車用途に
使用されているそうです。
先頭車からは前面の展望が良く効いていました。
角館から松葉までは、旧国鉄角館線で、
当時は田沢湖線と線路が繋がっていましたが
1997年にJR田沢湖線に標準軌の
秋田新幹線が乗り入れるようになって以来、
狭軌の秋田内陸線とは線路が切り離されています。
急行「もりよし2号」の車内の様子です。
秋の後楽シーズンの週末という事もあってか
乗車率はざっと50%程で、日中のローカル列車
としては賑わっているという印象です。
定刻に発車し、しばらくJR田沢湖線に並走します。
電化され標準軌に改められた田沢湖線の線路に比べ
秋田内陸線の線路は赤茶け、貧弱に感じます。
JR田沢湖線と分かれ、左に大きくカーブしました。
景色が開け、遠くに奥羽山脈の山々が見えています。
中央の山は田沢湖の外周山の院内岳でしょうか。
豊かな田園地帯が広がるなか、
急行「もりよし号」は順調に走っていきます。
急行「もりよし号」では、女性車掌さんの
ガイドの他、車内販売も行われていました。
しばらく走ると、列車は徐行を開始しました。
進行左手を見ると、田圃に稲穂の色で
列車の絵が描かれていました。
ちょっとしたサービスですが、こうした
企画はローカル鉄道ならでは、と思います。
急行「もりよし2号」は、引き続き
のどかな田園風景の中を走っていきます。
田園の広がるこの辺りは、
桧木内川の流域に広がる平野です。
羽後太田を過ぎ、2駅目の西明寺に停車しました。
この西明寺は2007年3月のダイヤ
改正から停車駅になっています。
2人の乗客が列車を待っていました。
この先で、次第に平野が狭まり、
車窓に桧木内川の流れも見えて来ました。
次の八津では、角館 - 阿仁合間を走る
「錦秋号」が通過待ちをしていました。
赤い車体が緑豊かな景色に映えていました。
八津を出ると、桧木内川の作る
平野は尽き、山間へと入りました。
トンネルが幾つか続き、その間に
清流となった桧木内川が見えました。
やがて再び、のどかな田園風景が広がりました。
羽後長土呂駅を過ぎ、のどかな景色の中に
片面のホームが見えると松葉駅です。
角館から19.2km、21分の所要時間でした。
国鉄時代は、角館線の終着駅だったのですが
そんな駅だったとは、知っていても
信じられない程の長閑さです。
地図を見ると進行右手の山の向こうに
田沢湖が広がっています。
松葉 - 比立内
(Matsuba - Hitachinai)
松葉から先は、1989年に
開業した新規開業区間です。
1980年代以降に建設された路線は、
踏切をなくすために高架化されている
ケースが多いのですが、この秋田内陸線では
周囲の長閑な景色は、松葉以南と変わりません。
再び、桧木内川を渡ります。
再び谷が狭くなり、トンネルを抜けて行きました。
羽後中里を通過していきます。
片面ホームの簡素な駅です。
ここからもトンネルが続きましたが、左通を過ぎると、
谷が広がり、緑豊かな景色の中を走りました。
松葉から3駅目の上桧木内です。
この駅は、上下線の行き違いが出来ます。
角館から阿仁合の間は、2013年10月時点では
10往復の列車が走っていますが、そのうち3往復の
列車が、この上桧木内で行き違いをしています。
沿線には稲穂が輝く田圃や薄の穂がなびく
日本の原風景が広がっていました。
戸沢を過ぎると、谷も狭くなり、いよいよ
行く手を遮るように山塊が迫ってきます。
このトンネルは十二段トンネルといい
長さ5,697mで秋田県で最も長いトンネルです。
遠くに、トンネルの出口が見え、
なんだか吸い込まれるような眺めです。
秋田内陸縦貫鉄道では、高架橋こそありませんが
こうした長大トンネルは土木技術を活かした
新規開業路線の特徴です。
トンネルを抜けると阿仁マタギ駅です。
この周辺はマタギ発祥の地
とも言われているそうです。
十二段トンネルを抜けた後は、
阿仁川の谷に沿って下っていきます。
阿仁川の渓谷を、高い位置で渡っていきます。
もう少し季節が下っていれば、この区間では
綺麗な紅葉が見られた事でしょう。
松葉から29.0kmの距離を、
32分かけて比立内に到着しました。
下りの角館行普通列車と交換しました。
この比立内は旧国鉄時代に阿仁合線の終着駅でした。
約30年ぶりの再訪ですが、当時の様子とか
あまり思い出せませんでした...
比立内 - 鷹巣
(Hitachinai - Takanosu)
比立内 - 阿仁前田
比立内から阿仁川に沿って下ります。
比立内から鷹巣までの区間は旧国鉄時代に
阿仁合線だった区間です。
末端の阿仁合 - 比立内間は
1963年(昭和38年)に開業しています。
阿仁川の谷は深く、阿仁川に注ぐ
いくつもの支流を渡っていきました。
比立内から二つ目の駅に笑内という駅があります。
「おかしない」と読む難読駅ですが、
急行「もりよし2号」は通過してしまうので、
その駅名票を写真に撮ることは出来ませんでした。
進行方向右側を流れていた阿仁川を渡ります。
深い谷が続き、わずかばかりの耕地が現れると
小さな駅がある、といった光景が続きます。
これは萱草駅の様子です。
列車の先頭部から見ていると、小学校の朝礼台の
ような短いホームがあるだけの小さな駅です。
萱草の先で小さなトンネルを抜け、
進行方向の左に流れる阿仁川を
見下ろしながら走るようになりました。
阿仁川も川幅が広くなってきました。
この辺りはその昔、銀山があったところです。
国鉄阿仁合線はこの銀山の輸送を目的に建設されたようです。
阿仁合までの区間が開業したのは1936年(昭和11年)の事でした。
やがて列車はスピードを緩め、阿仁合に到着しました。
秋田内陸縦貫鉄道が発足してから建てられたと
思われる三角形の駅舎も立派です。
秋田内陸縦貫鉄道の本社も置かれた主要駅です。
旧国鉄時代の阿仁合線に乗車した際、
当時は運転本数も少なく、確か
比立内からの折り返し列車が阿仁合止まりで、
駅前近くの民宿に泊まった記憶があります。
途中下車して、その時の記憶を頼りに
駅前を歩いてみたい衝動に駆られました。
車両基地もある阿仁合を出ると、
谷も少し広がってきました。
次第に田圃も広がってきました。
阿仁合の次の小渕を通過しました。
小淵の先で一旦阿仁川の谷も狭くなりましたが
そこを過ぎると、耕地が広がり、
沿線に集落も現れるようになりました。
小さな集落と小川に架かる橋の光景です。
どこにでもあるような光景ですが、
こうした眺めはなかなか見られなくなりました。
やがて阿仁前田に到着しました。
比立内から20.8km、約30分程の所要時間です。
この阿仁前田で、阿仁合に向かう
下り普通列車と行き違いをしました。
阿仁前田を発車し、前田の集落を
眺めながら走って行きます。
一旦、阿仁川から離れ勾配を上って行きますが、
やがて山が迫り、川渕を高い位置で通りすぎます。
谷が再び開けると、川幅の広がった
阿仁川に沿って走りました。
この先で阿仁川は大きく蛇行し、
谷もかなり開けていました。
稲刈りも殆ど終わった田圃の向こう、遠くに
見えるのは標高1454mの森吉山でしょうか。
阿仁前田から15分で米内沢に到着しました。
急行も停まる秋田内陸線では主要駅ですが
以前は2面3線もあった駅構内も、今では
僅か片面の1線しか残っていません。
米内沢からは谷もすっかり広がり、
田圃の景色の中を走って行きます。
次の停車駅・合川に到着です。
僅か数人ですが、駅で列車を待って
いる人がいるのは、ホッとします。
合川からは阿仁川と別れ、北に向かいます。
もう、終点の鷹巣も近く、阿仁川が合流する
米代川の流域となりました。
田畑や空が車窓一杯に広がっています。
ずっと山間を走ってきた後に、この光景なので、
まるで大平原を走っているような感じです。
そして、大河の様な米代川を渡りました。
やがて田圃が広がる景色の中、
奥羽本線の線路が近づき、
終点の鷹巣に到着しました。
鷹巣駅に到着する手前に、秋田内陸縦貫鉄道と
JR奥羽本線とを結ぶ渡り線がありました。
第三セクター化された鉄道会社とJRとの間の
渡り線を取り外してしまう例が多いのですが、
この渡り線のおかげで、角館と弘前を
結ぶ臨時列車が運行されています。
鷹巣駅に到着した急行「もりよし2号」です。
角館からの94.2kmを1時間59分かけて走りました。
のどかな田園風景と、豊かな山間の
景色を楽しめた2時間でした。
秋田内陸縦貫鉄道の鷹巣駅舎です。
隣接してJR鷹ノ巣駅があります。
47分の接続で、鷹ノ巣から
大鰐温泉へと向かいました。
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