Eurostar/Italy (Rome - Milano)

乗車日:December 26, 27 & 30, 1999






イタリアは隠れた鉄道王国です。
隠れたというのは、イタリアの鉄道というと、
すぐ遅れると言う言葉が、対になって出てくる程、
イタリアの鉄道の評判があまり芳しくないからです。

しかし実際にイタリアの鉄道に乗ってみると、
新型の列車が頻度高く走っていて、列車の遅れも少なく、
その為か、どの列車もよく混んでいました。

特にFirenze - Rome間は"ディレッティシマ"
「最も真直ぐな」と言う意味の高速線が完成していて、
ETR500という素敵な列車が最高速度250km/Hで走っています。

ちなみに、この列車の愛称は"ユーロスター"。
ドーバー海峡トンネルを走る列車と同じ名前ですが、
こちらの方が、歴史が古く先輩格にあたります。


1999年のクリスマス休暇で、イタリア旅行した際、
イタリアのメインルート、ローマ(Rome) - ミラノ(Milan)間を
この列車に乗って移動しました。

ローマの旅行記はこちらです。
ミラノの旅行記はこちらです。


ローマ・テルミニ駅はイタリア中の列車が集まる、
一大ターミナルです。夕方この駅に到着すると、
数多くの客引きに声を掛けられる事になります。
地下鉄の2路線もこのテルミニ駅で交差していて、
ローマ市内の交通の要衝でもあります。

テルミナ駅 9:33発Milan行き Eurostar 9408列車は
そのテルミニ駅を10分程遅れて発車しました。
発車時間が近づいて、漸く発車番線変更の表示が出たので、
人ごみのなかホームを移動してやっと乗り込みました。

列車はETR 500と呼ばれるイタリア最新鋭の高速列車。
1996年末から営業運転につき、設計最高速度は300km/h
Milan - Napoli間に毎時一本の割合で走っています。
編成は、一等車4両に一両の食堂車を挟んで、
2等車が確か6両程繋がれていたと思います。
TGVやICEと同じ様に先頭と最後尾は機関車です。
車内は混んでいてデッキには何人もの人が立っていました。

テルミニ駅を出て車窓右手に古代ローマ時代の遺跡を眺め、
ローマ市街を往けると、Tevere川沿いの平野を走ります。
昨日までのぐずついた天気がうそのように晴れ上がり、
イタリアの背骨アペニン山脈の山々が雪化粧していました。

Rome - Firenze間261kmはディレッティシマと呼ばれる
高速新線が建設され、最高速度250km/hで走ります。
Tevere川の川沿いを、在来線と行き会いながら走る様は、
さながら東海道新幹線と東海道線の様です。
高速線は南はナポリ北はボローニャ迄延長工事中で、
開業予定は夫々、2001年・2005年とのことです。


列車は、なだらかな丘陵地帯に開けた、
Tevere川沿いの広い谷間を走るのですが、
車窓には丘の上に城壁を構えた街、城郭都市が現れます。





下の写真は、Ortoという街だと思います。
城壁や、赤茶けたレンガの建物が、
天然の岩肌に同化してしまっているに見えます。
こんな丘の上に街を築かなければならないというのは、
中世の時代、都市間に熾烈な争いがあった証でしょう。
この先有名なOrvietoも車窓左手に見えてきます。


車窓にいくつも現れる城郭都市を眺めるうちに
いつしか広々とした平野を走る様になり、
その後、丘陵地帯を走ります。
緩やかに起伏する台地に牧草地が広がり、
羊や牛がのんびりと草を食んでいます。

時折、石積みの小屋が現れます。
イタリアの古い農家でしょうか。
思わずカメラに収めたくなる光景ですが、
列車のスピードが速くいので、
なかなかシャッターを押せません。
車窓から見ると、その多くは打ち捨てられ、
廃墟のようです。




列車はArno川を渡り、再び平野が広がり、
赤茶色の屋根の家が立ち並ぶとFirenzeです。
Romeから1時間35分程度で到着です。
評定速度は163km/hになります。

Firenzeは櫛形のホームが並ぶ頭端式の駅で、
ここで方向を変えて発車します。
多少乗客の入れ替わりがありましたが、
デッキで立っている人がまだ何人かいました。

Firenzeからはアペニン山脈を越える山岳路線です。
Bisenzio川という川に沿って狭い谷を遡って行きます。
古い石積みの小屋が幾つも車窓を通り過ぎていきました。
谷がいよいよ狭まり、大アペニン・トンネルに入りました。
この大アペニン・トンネルは全長18,507m。
かのシンプロントンネルに次ぐ長さだそうです。
列車はかなりのスピードで走っているのか、
暗闇で退屈する間もなく、トンネルを抜け、
雄大な景色を楽しませてくれました。




Firenzeから55分程でBologna着。
手元のガイドブックによるとBolognaは、
エミリア・ロマーニャ州の州都で、商業が栄え、
食通の街として知られているそうですが、
僕にはBolognaというと、20年前にこの駅で起きた
爆弾テロのことが、何故か頭に思い浮かびます。
もっとも、Bologna駅は綺麗に整備されていて、
昔の出来事を思い起こさせる由もありません。



Bologna駅ホーム。Eurostar車内から


Bolognaを出ると、列車は北西に進行方向を変え、
ポー川のつくる沖積平野の南の端を快適に走ります。
あたりは広々と牧草地や畑が広がり
豊かな穀倉地帯といった感じです。

平野の中にポツンポツンと農家が散在していますが、
Firenzeに着く手前の丘陵地帯で見た
石積みの粗末な小屋とは異なり、
大きな構えの立派な農家です。

またこのあたりは産業が盛んな地域で、
中規模の都市を次々と通り過ぎます。
そのうちの一つPiacenzaの街を過ぎ、
広々とした河原のPo川を渡ると
終着Milanも、もうすぐです。

Eurostar 9408列車は遅れを取り戻し、
定刻14:00にMilan Central駅に到着しました。



往路、MilanからFirenze迄乗車したIC
Milan Central駅にて




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