セマウル号
(ソウル - 釜山)
Saemaul
(Seoul - Pusan)



乗車日:Jan. 26, 2002





韓国の鉄道は国鉄が運営していて、
総営業距離、3,000キロ。
ソウル等の大都市近郊を除くと、
都市間を結ぶ優等列車の運行が
中心になっている様です。

列車の種別は特急列車に相当する
「セマウル(Saemaul)号」をはじめ
「ムグンファ(Mugunghwa)号」、
「トンイル(Tongil)号」があります。

「セマウル号」はソウルを中心として
韓国各地に走っているのですが、
ソウルと釜山を結ぶ列車が
韓国一の看板列車にあたると思います。

そこで、韓国出張の際にソウルに行った際、
釜山まで「セマウル号」に乗車してきました。


土曜日の朝、5時半過ぎに起き、
6時過ぎにはホテルを出ました。
1月末の冬の最中、周りはまだ暗く、
寒さで手も悴み気味です。

こんなに早く起き出したのは、
遅い時間の釜山行きの「セマウル号」の
切符が売り切れていて、7:00発の
列車しか席が空いていなかったんです。

まだ夜明けきらぬ中、ライトアップされた
南大門の脇を抜け、ソウル駅に向かいました。



ソウル駅は赤い煉瓦の建物で、美しく
ライトアップされていました。

駅舎の中は土曜日の早朝なのに、
切符を買う人の列や、改札の
開始を待つ人たちで溢れていました。

釜山行きの「セマウル号」は16両編成。
8両編成が2編成繋がっています。

韓国の鉄道運賃は日本に比べるとかなり安いので、
ちょっと贅沢して一等車に乗りました。
一等車のリクライニングはかなり深く、
車内はとても快適です。

韓国では以前軍事上の理由で駅構内や
列車内での写真撮影が禁止されていて、
今でも鉄道敷地内での写真撮影に関する
トラブルがあると聞いていたのですが、
ホームの駅員さんに聞いても特に問題ない様子でした。


定刻の7時、まだ暗い中を滑るように発車しました。
車内はほぼ満席の状態です。
漢江(Han-Gang)を渡ったところの
永登浦(Yeong-Deung-Po)に停車し、
その後ソウルの街中を抜けて行きます。

30分ほど走った水原を出た辺りでようやく日が昇り
周囲が明るくなってきました。
昨日までの抜けるような晴天とはうって変わり、
今日はどんよりとした曇り空です。

広い平地に、時折高層アパート群が
現れるという韓国独特の景色です。



これらの高層アパート群は最近建築しているのか、
建築中のアパートや、区画整理中の箇所も
何度か車窓に現れてきました。




南に進むにつれ、遠くに見えていた山が
次第に近づいて来ました。




京畿平野が尽き、天安(チョナン)に到着です。
遠くに見えた山々はどうやら雪で、
頂近くが白く染まっています。


天安を過ぎると、列車は山間に
分け入って行きました。

ソウルから住宅と言えば高層アパート群しか
見られなかったのですが、山間には
ひっそりとした集落が点在していました。



背の低い5〜6軒家々が寄り添っていました。

しばらくウトウトするうちに大田(テジョン)を過ぎ、
食堂車に向かいました。
時刻は9時過ぎ。遅めの朝食です。

食堂車は一等車と二等車の中間に連結されています。
午前中のせいか、食堂車は空いていました。

ソウルのホテルが運営しているようで、
5種類ほどのメニューが用意されていましたが、
一番無難そうなお弁当を注文しました。


車窓にはいつしか川に沿って走っていました。



川幅が広く、滔々と流れています。

のどかな景色を見ながら食堂車での食事。
空いた食堂車ではちょっと侘しさもあるのですが、
日本では、もうこういった体験を
殆ど出来なくなっていています。


山が次第に深くなり、いつしか雪も降り出しました。
周囲の田んぼが雪に覆われて、車窓が白くなっています。



永同(ヨンドン)を過ぎ、山間を走ります。
カーブがいくつも続き、適度な揺れで
ついまたウトウトとしてしまいました。

ふと目を覚ますと、大きな川を渡るところでした。
洛東江(ナクトンカン)でしょうか。



雪景色で、寒々とした景色です。

やがて、山の合間に再び高層アパート群が現れ、
東大邱(トンテグ)に到着です。
大邱(Taegu)はソウル、釜山に次ぐ
韓国第三位の大都市です。

ほぼ満員だった車内も、
この東大邱で多くの乗客が下車し、
空席が目立つようになりました。


東大邱を発車して、しばらく雪景色の中を
走っていたのですが、山間のトンネルを越えると、
もう雪は全く積もっていませんでした。

山間の小駅の様子です。



トンネルを抜けると、密陽江(ミリャンガン)と
その本流、洛東江(ナクトンカン)に
沿って走るようになりました。

これらの川に流れ込む支流の川の谷間は
ガスに霞んでいます。




車窓右手の洛東江の川幅が次第に広がり、
大河の様です。

車窓左手は山が迫り、次第にその山肌に
高層アパートが建ち並ぶ様になりました。



釜山の地下鉄路線も並走するようになり
そろそろ釜山の街も近いようです。

ソウルから444.3km。
定刻の11:32に釜山駅に到着です。
約4時間30分のセマウル号の快適な旅でした。




ソウルの街の様子は、 こちら です。
また釜山の街の様子は こちら です。




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