トリアー
Trier, Germany



ドイツ一古い街、トリアー(Trier)。
4世紀には西ローマ帝国の首都でした。
一説によるとローマよりも古いそうで、
実際、ローマ時代の遺跡が
街のあちこちに数多く残っています。

もちろん、現代のTrierには大聖堂や
他のドイツの街と同じような中世風の建物も
残っていて、その取り合わせが、
どことなく不思議な魅力を醸し出しています。


トリアーの旅はPorta Nigraから始まりました。



Porta Nigraはローマ時代に、
街の北の端に設けられた、門の跡です。
石を積み上げた3層、一部4層立ての大きな門が
街を威圧するかの様に建っています。
石の色が黒く、戦で焼け落ちたかのような
印象を与えます。

なんでも、紀元2世紀に建てられたのだそうですが、
よく今の時代まで、持ちこたえたなというのが
Porta Nigraを見た、僕の率直な感想です。

紀元前後にこの規模の門がTrierの
東西南北に聳え、その門を結ぶ城壁が
繋がっていたというのは驚きです。


Porta Nigraから歩行者道を南へ向かうと
街の中心、ハウプト・マルクトに出ます。
天気の良い、秋の土曜日の午後、
多くの人が街に繰り出し、
お祭りでもあるのかと思うほどの
賑わいです。



この広場の真中に十字架が建っています。
十字架の基礎の部分は階段状になっていて、
多くの人がここに座って、
ソーセージとか食べているんですが、
これが「市場の十字架」と呼ばれる十字架で、
これが建立された958年以降、ここTrierが
中世の中心都市としての地位を確立したようです。

ハウプト・マルクトからすぐ東には、
大聖堂と、聖母教会があります。


(左が大聖堂、右が聖母教会です)

この大聖堂は4世紀には建立され、
ローマ時代の中心的建造物だったそうです。
聖母教会もゴシック様式の教会としては
ドイツで最も古く13世紀初期に建立されており、
Trierの建物はどの建物も歴史的な価値がある様です。


大聖堂から更に南に下がると、選定侯の宮殿と、
それに続く宮殿の庭園があります。



ピンク色した洒落た選定侯の宮殿。
綺麗に手入れされた庭園を歩くのは、
とても気持ち良かったです。
犬を連れた人たちが、のんびりと散歩しています。


そしてこの庭園の先には、Trierの二番目の見所、
KaiserThermen(カイザーテルメン)があります。



このKaiserThermenは4世紀に時の皇帝、
コンスタンチヌスが作らせた浴場で、
ローマのカラカラ浴場とかと並ぶ、
三大浴場の一つになっているそうです。

今では、外壁の一部と地下水路が残っている
だけですが、その規模の壮大な事!
広さは100m四方は有に越え、
地下水路がまるで迷路のように
張り巡らされています。
温水と冷水浴槽の浴槽だけではなく、
運動場まで完備されていたといいます。

当時の土木技術水準の高さと、
皇帝の権力の大きさを窺い知る事が出来ます。

TrierにはこのKeiserThermenの他にも、
2箇所ほど古代の浴場跡が残っているそうです。


KaiserThermenから東に折れ、丘陵地帯に入ると、
今度はAmphitheater(円形大闘技場)があります。



丘のくぼ地の地形をうまく生かした、
楕円形の競技場です。
急勾配の芝生席に座っていると、
歩き回った疲れと心地よい秋の空気で、
ついいい気持ちになって、
うとうとしてしまうそうですが、
ここは人間と猛獣の戦いが繰り広げられた所です。

何人もの人が、猛獣の刃に倒れたことでしょう。
人の背よりも高い塀が、見る人と命をかけて
戦った剣闘士との世界を分けていたんですね。

ただの地面に見える闘技場も、
地下に潜ると水路があり、闘技場の水はけを
良くした構造になっていて、驚きました。
今は芝生になっている観客席も当時は、
全部椅子席だったようで、収容人員も
二万人を数えたそうです。


Trierは歴史的価値のある史跡が
本当にたくさんあるのですが、
お勧めは、選定侯の宮殿の東側、
中世時代の壁の向こう側にある
ライン州立博物館です。

広い館内にはTrier市内や周辺の地域で出土した
古代ローマ時代からの遺跡が数多く展示してあります。

ここには、古代ローマ時代のTrierの
街並みの模型も展示されています。
今のTrierの街並みは細い道が曲がりくねって、
中世のドイツの街並みのままなのですが、
古代ローマ時代には、東西・南北に
整然と条里が敷かれていたりとか、
古代ローマ時代の城壁の方が、
中世の城壁よりもはるかに広い地域を
覆っていたことがわかります。

時代が進むと、なんでも進歩している様な
気になってしまいますが、
古い時代の方が、ある意味では進んでいたことが
あることを教えてくれます。

ここの博物館に行った時は帰りの列車の
時間の余裕がなくて、充分見れなかったのです。
少なくとも半日ぐらいは時間が欲しいです。


そしてTrierは史跡があるだけでなく、
街なかも本当に綺麗です。

Porta Nigra から城壁跡を辿って西に向かい、
モーゼル川に出て、川べりを散歩したのですが、
城壁の跡や川べりが綺麗に整備されていて、
町じゅうが公園のようでした。

このTrierにはMosel川に沿って
列車に乗ってやって来ました。
その様子は、 こちらです。


Hotel Information

Roemischer Kaiser
Porta-Nigra-Platz
D-54290 Trier, Germany
Tel: +49 (651) 9770-0
Fax: +49 (651) 9770-99

Porta Nigraのすぐ脇にあるHotelです。
古いTrierの街に似合う感じの建物ですが、
内部は近代風に造り直されています。
値段もそれ程高くなくお薦めのHotelです。


Restaurant Information

WeinStube
Palais Kesselstadtt
D-54290 Trier, Germany

聖母教会のすぐ脇にあるRestrant。
その名の通り、ワイナリーのレストランです。

お店の前にモーゼル川沿いで発見されたという
ローマ時代のワインを運ぶ船の石碑の
模造品(と思う)が置いてあり、
また店の外装もとても趣がありました。

店の右側のドアから入ったのですが、
こちらは、カウンターで、飲み物と料理を注文し、
飲み物は自分で運ぶのですが、
食事は後で運んできてくれます。
イギリスのパブにちょっと似たシステムと雰囲気です。
もちろん、僕はワインを頼み、
記念に一本買って帰りました。

店を出てから気が付いたのですが、
左手にもう一つ入り口があって、
そちらは普通のレストランの様でした。



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