ブレンナー峠を越えて (フッセンからボルツアーノ)
Fussen to Bolzano through Brennerpass, Austria






2002年5月、ドイツに長期出張していた際、
イタリアのボルツアーノに行ったのですが、
その時に、初めて車でアルプス越えをしました。

今まで鉄道ではいくつものルートでアルプスを越えていますが、
車でのアルプス越えは今回が初めてでした。

ちなみに、鉄道でのアルプス越えは、
チューリッヒからミラノへ抜けるゴッタルド越え(Gotthard Pass)
サン・モリッツからベルニナ急行でのベルニナ越え(Bernina Pass)、
ウィーンからヴェネチアへ向かう Carlo Goldoni号
そして、イタリアのトリノからフランスのリヨン方面へも抜けた事があります。


早朝にフランクフルトを経ち、アウトバーンのA7号線を南に向かいました。
フッセンからボルツアーノまでの地図は こちらです。

ドイツは比較的平らな地形をしていて、北部は大平原が広がり、
中部は緩やかな起伏を描く丘陵地帯が続いているのですが、
ドイツ南部、オーストリアと国境を接する辺りでは、アルプスの
北限の山々が衝立のようにその姿を現してきます。

フッセンの手前でA7号線を下り、アルペン街道を走りました。
草原の向こうに遠く雪を被ったアルプスの山々が見えてきました。



地図で調べてみると、この山々はオーストリア国境の
アルガウア・アルプスと思われます。

アルガウア・アルプス (Allgaeuer Aplen) は、
標高2800m級の山脈です。


フッセンから南に下り、オーストリアに入りました。
長いトンネルを抜けると、針葉樹の林の間をワインディングで抜け、
その向こうに雪を被った山が目の前に現れました。



あまりの景色の良さに車を止めて外に出てきました。
道の脇にはせせらぎが流れ、冷んやりとした空気に、
気分がピリっとしました。


しばらく緩やかな下り坂が続いていたのですが、
やがて谷を遡るようになり、ヘアピンカーブの続く峠道となりました。

地図で確認するとFernpassと小さな字でこの峠道が記されています。
雪山の麓の小さな谷の景色が眼下に広がってきました。



東西に幾重にも重なるアルプスの山脈、
また次ぎの山襞が立ちふさがるように聳えていました。



地図で確認するとHeiterwand山、2639mでしょうか。
ちなみにこの辺りの標高は1200m。
丁度北軽井沢辺りの標高と同じです。


やがて、古いお城の標識が出てきたので、再び小休止。
景色のいい場面で何度も車を止めているので、
予定よりも大幅に時間がかかってしまっていました。

これも地図で確認するとFernstein城と思います。
もう3年前の旅のことで、多少記憶違いがあると思います。

お城への坂道を歩き出したのですが、
後方の草原とアルプスの山々がとても綺麗でした。




Fernstein古城を過ぎると、Inn川のつくる大きな谷に出ました。
Inn川はサンモリッツのあたりを源として、インスブルックを流れ、
ドイツ・オーストリア国境のパッサウでドナウ川に合流します。

ドイツとオーストリアの国境近くではアウトバーンが繋がっていない為
A7号線を降りて以来しばらく一般道を走っていましたが、
ここからは再びアウトバーンの旅です。

インスブルックまで東に進み、インスブルックから進路を南に取り、
ブレンナー峠を越えてイタリアに入る予定です。

Inn川はほぼ東西に一直線に連なる谷に沿って流れています。
谷の両側は切り立った崖になっているのですが、
その裾野はカーブして、谷の断面はU字状になっていました。
氷河が作った谷なのでしょう。

インスブルックの手前で、ミュンヘンとインスブルックをつなぐ
鉄道の路線が切り立った岩肌に見えてきました。



こういった光景を見ると、列車に乗ってここを訪れたくなってきます。


チロル州の州都で、冬のオリンピックが2度も開催された
歴史ある街、インスブルックに立ち寄らず、
そのままイタリアを目指しました。

ここからがいよいよブレンナー峠(BrennerPass)越えです。
ブレンナー峠は標高1374m。
アルプス越えの峠の中では最も標高が低く、
古代ローマ時代から、多くの人がこの峠を行き来したようです。

今このルートには、鉄道路線とアウトバーンと旧道が通っています。
ドイツとイタリアを結ぶ主要ルートなので、アウトバーンも交通量が多く、
それが環境問題にもなっているようです。

予備知識がなく知らなかったのですが、峠に向かう途中、
オイロパ・ブリュッケという橋桁の高さ190mの橋を渡ったようです。

渡り終えたところが、サービスエリアです。
ここを出るといよいよブレンナー峠です。

サービスエリアの出口に、尖った頂を持つゼアレス山が見えてきました。



山の形から祭壇の山と呼ばれているそうです。


ブレンナー峠を越えるといよいよイタリア。
地中海に面し、暖かいイメージのイタリアですが、
この辺りの景色は、オーストリアと殆ど変わりはありません。



雪を抱いたアルプスの山々が高速道路からでもよく見えます。
でも、あまりに一気に通り過ぎてしまうので、
景色の変化が早すぎてもったいない程です。

このブレンナー峠は、多くの人が行きかった為か、
時折古城も現れました。



是非、もう一度このブレンナー峠を
のんびり通ってみたいものです。



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