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岳南鉄道は、JR東海道本線の吉原を起点とする
営業キロ 9.2kmの私鉄線です。
1949年(昭和24年)11月に、
鈴川(現在の吉原) - 吉原本町間2.7kmが
営業を開始しています。
その後、1953年(昭和28年)に
岳南江尾まで延長開業され、
今に至っています。
この岳南鉄道に2005年12月に乗車しました。
山梨に折りよく月曜日に出張があったので、
前日の日曜日に移動がてら立ち寄ったのです。
静岡からJRの普通に乗り、吉原で下車。
貨車がたむろする吉原駅構内の外れに
赤い塗装のステンレスカーが
ポツンと停車していました。
長い東海道本線の静岡寄りの跨線橋を渡り、
岳南鉄道のホームに向かいました。
この車両は以前は京王電鉄で
使用されていたものです。
停車中の岳南鉄道の電車の脇を
東海道本線の貨物列車が
駆け抜けて行きました。
物流の多くをトラック輸送に頼っている
日本の現状ですが、東海道本線は
さすがに多くの貨物列車が設定されています。
この岳南鉄道沿線にも多くの工場が建ち並び、
私鉄には珍しく、現在も貨物輸送を行っています。
11:26、東海道線の電車からの
接続客を待ちうけ、発車しました。
僅か一両ですが、車内は閑散としていました。
電車は、貨物留置線の右側を走って行きました。
発車すると間もなく、田子の浦に
注ぐ運河のような川を渡りました。
川に沿って、大きな工場が建っているので、
まるで工場の外堀のような感じもします。
この辺りは、その昔、
"田子の浦ゆ 打ち出でてみれば 真白にぞ
不二の高嶺に 雪ぞ降りける"
と歌われた風光明媚なところだったのですが、
今では、見る影もありません。
やがて東海道本線と別れ、進路を北に取りました。
丁度前方、正面に富士山を望むように走るのですが、
生憎この日は曇りがちの天気で、
雲の合間から頂がかすかに
顔を覗かせているだけでした。
吉原から2.3kmの距離にあるジャトコ前を過ぎると、
住宅や商店の密集地となり、短い駅間距離で、
吉原本町・本吉原と停車しました。
僅かに乗っていた乗客の何人かは、
この二つの駅で下車していってしまいました。
これは、本吉原駅に
停車中の電車からの写真です。
本吉原では、駅の南側に製紙工場があり、
ここからは再び工場地帯となりました。
岳南鉄道の線路を跨いで、
工場を結ぶ配管が設置されていて、
あたかも引込み線を走るような雰囲気です。
そして次の岳南原田で
吉原行きの電車と行き違いです。
こちらは緑の塗装の2両編成の電車でした。
再びパイプが張り巡らされた
製紙工場の中を走り、
貨車が何両も留置している
比奈を過ぎると、岳南富士岡です。
ここには車両基地があり、
一世代前の電車や、貨物列車用の
機関車が駅構内に屯していました。
岳南富士岡を過ぎると、工場地帯を抜け、
愛鷹山が近くに見えてきました。
工場地帯から、急に車窓風景が変わり、
どこをどう走っているのか判らなくなる
ような不思議な感じがしました。
晴れていれば、富士山も愛鷹山も綺麗に見えたのに、
と、ちょっと曇り空が恨めしいかったです。
やがて、前方に新幹線の高架橋が見え、
それをアンダークロスすると
終着駅、岳南江尾に到着です。
一面2線の島式ホームの簡素な作りです。
もう一線には、電車が停留していて、
僕の乗ってきた電車と二つの編成が並びました。
これは、岳南江尾駅の駅舎です。
駅の周囲は、住宅街で、商店街とかはなく
なんだか唐突な感じで駅が存在している、
そんな感じの岳南江尾駅前でした。
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