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埼玉県西部、秩父の山あいを走る秩父鉄道に
蒸気機関車の牽引する列車が走っています。
往時は亜幹線用の客貨両用機として活躍した
C58 363号機の牽引する
SL「パレオエクスプレス」です。
運転区間は熊谷から秩父鉄道の
終点・三峰口までの56.8km。
西武鉄道のレッドアロー号で秩父に入り、
御花畑駅から三峰口駅に向かいました。
三峰口の駅は、三峰山の登山口になっていて、
山へのバスを待つ行楽客の姿や、
山から下りて来た登山客の姿が目に付きます。
三峰口発の「パレオエキスプレス」の発車時刻は
14:00丁度(平日ダイヤです。休日は14:03)。
発車30分程前、C58 363は転車台で向きを整え、
4両編成の客車列車への連結の準備をしていました。
13:30発の普通電車羽生行きが出発していくと、
いよいよC58は構内を転線し、
客車列車の前方に連結されました。
ホームのSL越しに甲武信ヶ岳に繋がる
山並みが見えて、とってもいい雰囲気です。
三々五々「パレオエキスプレス」に乗る乗客が
ホームに現れ、蒸気機関車の周りに集まって来ました。
やがて発車時間が近づき、ホームにいた人が
車内に戻り、いよいよ発車です。
ポーという汽笛一声とともに列車は動き出しました。
久しぶりに聞く汽笛の音。
思わず心に響きました。
客車は冷房も効いているのですが、
窓を開け放して、車窓風景を楽しんでいました。
車内にはグループ客や子供連れの家族が多く、
とても賑やかな雰囲気です。
車窓は甲武信ヶ岳に続く山並みが広がって、
高原の様な雰囲気です。
沿線にはカメラを構える多くの人。
車内の子供達と沿線の人たちが手を
振り合っていて、とても微笑ましい光景です。
蒸気機関車はみんなの心を
童心に戻す魔力を持っている様です。
山あいの線路を右に左にカーブし、
時折清流を鉄橋で越えて行きます。
窓を開け放して、外を見ていると
時折石炭が目の中に入ってきます。
やがて先ほどレッドアロー号の車内で見た
武甲山が車窓右手に見えてきました。
昔なつかしい、旧国鉄時代のオルゴールが鳴り、
御花畑駅到着のアナウンスです。
御花畑と次の秩父で乗り込みがあり、
約7割の乗車率となりました。
車窓は住宅地と畑が広がっています。
再び、汽笛を鳴らしながら清流を渡りました。
しばらく単調な景色が続き、車内も
発車直後の興奮が次第に薄れつつあり、
車窓に目を遣る人が少なくなってきました。
カーブを曲がりながら走る
パレオエクスプレスです。
今度は比較的長い鉄橋で
荒川を渡り、長瀞到着です。
乗客の多くが席を立ったのですが、ホームにも
大勢の乗客がSLの到着を待っていました。
ツアーの人もいる様です。
この長瀞では10分程停車して、
後続の普通電車に追い抜かれます。
この停車時間を利用して蒸機の写真を
撮っていた人が戻って来たら、
寄居に向けて発車です。
乗客が入れ替わって、また車内に
賑やかさが戻ってきました。
長瀞は国指定の名勝天然記念物の
岩畳がある景勝地とのことで、
荒川を船で下る事も出きるそうです。
車窓からはその景勝地は見えないのですが、
野上駅を過ぎると山が迫り、
荒川に沿って走ります。
渓谷美に車内から歓声が上がりました。
荒川の流れが淀み、ダム湖に繋がると、
もうすぐ寄居です。
寄居は秩父山地が尽き、関東平野との
境に開けた谷口集落です。
この寄居で半分程度の乗客が下車しました。
武川を過ぎると、田圃が広がってきました。
車内もかなり空き、のどかな車窓に
SLの牽引する列車に乗っている事を
ふと忘れてしまいそうです。
左手遠く新幹線の高架橋が現れ、
やがて熊谷に到着しました。
三峰口から2時間20分の旅。
車内は空いていた筈ですが、
駅に到着すると、C58 363号は
あっという間に多くの乗客に
囲まれて記念撮影が始まりました。
蒸気機関車の運転台に
乗せてもらった子供たちが、
大きくなって鉄道好きに
なるといいなと思いました。
SLパレオエクスプレスの旅は
この熊谷が終着なのですが、
秩父鉄道は14.9km先の
羽生が起点になっています。
3両編成の普通電車で
羽生まで行って来ました。
車窓には広々とした田園風景が広がり、
夏の夕暮れが近づき、入道雲が
ぽっかり浮いていました。
SL「パレオエクスプレス」が運行を
開始したのは昭和63年とのことで、
もう14年目になるとのことです。
ちなみに「パレオエキスプレス」という名前は
秩父地方に2,000万年前に生息していた
海獣パレオパラドキシアにちなんでいるそうです。
パレオエキスプレスのダイヤ・予約方法等は
秩父鉄道のホームページに詳しく載っています。
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