|
|
|
高山線は岐阜から高山を抜け、
富山に至る全長225.8kmの路線です。
深い飛騨の山あいを縫う様に走る路線なので、
以前は特急でも4時間近くかかっていました。
その高山本線に1989年から新型の特急が走り出し、
現在では3時間ちょっとで結んでいます。
その高山本線に1995年の冬に、乗って来ました。
乗った列車は「ワイドビューひだ」号。
ひだ号は1989年に導入された
キハ85系と呼ばれる新型車両で
運転されています。
このキハ85系は窓が大きく、
山あいの景色が楽しめます。
先頭車両からは運転席越しにも展望が開け、
まさに、ワイドビューの愛称そのものです。
乗車したのは、「ひだ1号」。
名古屋を8時40分に出発し、岐阜から
高山線に入り、富山着は12時21分です。
岐阜までは東海道線を走ります。
岐阜で方向転換をして、
高山本線に乗り入れます。
所々田畑に雪が積もる様になってきました。
左手に織田信長の居城・岐阜城を眺めながら、
岐阜郊外の住宅地を抜けると、木曽川沿いを走ります。
山あいを滔々と流れる木曽川の様子は、
日本ラインと呼ばれています。
対岸に16世紀に建立された天守閣が現存する
国宝犬山城も見え、古城と川の取り合わせも、
本家のライン川に良く似ています。
美濃太田を過ぎると、木曽川の支流
飛騨川に沿って北上します。
雪は次第に深くなってきました。
飛騨川の流れも狭く深くなってきました。
岩場の続く切り立った渓谷の間を
飛騨川が流れるこのあたりは飛水峡と呼ばれ、
高山本線随一の渓流美となっています。
やがて、飛騨川にダムがいくつも現れ、
ダム湖のほとりを走る様になりました。
先頭車両からは、ダム湖に沿って、
右へ左へカーブを切りながら
進む様子が手に取るように見え、
思わずその景色に引きずり込まれました。
深い山が続き、久しぶりに
まとまった集落が現れると下呂。
天下三名泉に数えられた温泉で、
飛騨川の河原には共同温泉があります。
下呂を出ると、再び深い山間となり、
太平洋と日本海との分水嶺の宮トンネルを越えると、
特急「ひだ」は高山駅に到着しました。
10:55定刻、名古屋から2時間15分です。
高山は碁盤の目状の街並みや江戸時代の建物が残り、
小京都と呼ばれる観光都市です。
春秋の高山祭りには街中を山車が練り歩き、
多くの観光客が訪れます。
8両編成だった「ひだ」も、
この高山で5両が切り離され、
僅か3両編成で富山を目指します。
分水嶺を越えて日本海側に入ると雪も深くなり、
あたりの景色も山水画の様になってきました。
古い街並みが残る飛騨古川を過ぎ、
杉原という小駅を通過しました。
線路脇に堂々とした屋敷があり、
雪の中、いかにも絵になるような景色でした。
杉原を過ぎると、再び深い山となりました。
蛇行する川を避け、いくつものトンネルと鉄橋で
ショートカットしながら進んでいきます。
雪は益々深くなり、2本のレールが
雪の中に埋もれる様になりました。
列車は何事も無いかの様に
深い雪の中を走って行きました。
神岡鉄道との乗換駅、猪谷を抜け、
深い山間を抜けると、八尾。
ここから富山平野となるのですが
雪が降り出し、視界が利かず、
広々とした景色は見られませんでした。
そして、降りしきる雪の中、名古屋から
3時間41分で終着富山に着きました。
|
|
|