Milan - Nice

乗車日:July 27, 1998







1998年の夏、スイスのRigiからMilanへと移動し、
コート・ダジュールの観光都市Niceに向いました。
これはその時Milanから乗ったリヴィエラ海岸に
沿って走る列車の旅の様子です。

Milanには前日の夕方に着き、午前11時10分の列車で
ジェノバに向かう予定だったのですが、
ホテルが駅の西側の雰囲気の良くない地区にあり、
またHotelもなんとなくかび臭い感じだったので、
そうそうにNiceに向かうことにしたのです。

11時11分発の前は8時15分発のIR。
イタリアの列車は混むと聞いていたので、
前日の夕方、指定券の変更手続きをしようと
Milan中央駅に向かったのです。


壮大な駅の一階の東側に指定券の窓口があり、
どうやら整理券を取って自分の番を待つようです。
あまりはっきり憶えてないのですが、
自分の番になるまで50番程だったように思うのですが、
しばらく待っていても順番は全然進みません。
窓口は4つほど空いていたのですが、
一人一人の対応に恐ろしく時間がかかっている様子です。

それで一旦Hotelに戻り再び出直すことにしました。
一時間半程過ぎ、再び窓口に戻ると、
丁度あと5、6番で自分の番となるところでした。

整理券を取って、約2時間後、ついに順番が来ました。
11時10分の指定券を見せて、8時15分のIRに乗りたい
というような事を英語で言うのですが、
窓口の駅員さんは、片言しか英語を話さないようで、
なかなかこちらの意図が伝わらないようです。

色々話をするうちに解かったことは、
「今持っている指定券で、8時15分の列車にも乗れる」
ということだけで、新たに指定券は
発行してもらえませんでした。

ヴァカンスシーズンで、しかもリヴィエラ方面の列車。
家族四人で席は確保しておきたかったのですが、
2時間の時間が徒労に終わってしまいました。


さて、その当日です。
発車20分程前に駅に行くと、Milan中央駅、
8時15分発Ventimiglia駅行きIR 2183/2184列車は
既に入線していました。
確か6両か7両ほどつないでいたのですが、
車内は、沢山の荷物を持った人で、
座席はほとんど埋め尽くされていました。


やっと4人分の空席を見つけたのですが、
席はバラバラで荷物を置く場所もなかったのですが、
席が確保出来ただけでも良かったです。
荷物は通る人の邪魔にならない様、
通路に置いてなんとかしのぎました。


どうにか席を確保して、ヤレヤレと思っていたら、
近くに座っていた人達が席を融通してくれて、
子供と親が二人ずつ座れる様になりました。
言葉はお互い通じないのですが、
周りの人が言葉をかけてくれたりして、
和やかな雰囲気になります。
イタリア人は子供好きとガイドブックに
書いてあったのですが、ホントそんな感じです。

座席を確保し、ホッとしながら発車を待っていると、
通路を歩きながら、Lottoを配る人が現われました。
僕のところには配られなかったので、
僕も欲しかったのに、などと思っていたら、
今度は袋に入った人形を配っています。

子供が興味を示して手に取ったのですが、
周囲の人はみんなそれを無視しているようなので、
子供に触らせないようにしていたら、
程なく、Lottoや人形を回収しに来ました。
きっと人形の封を開けたりすると、
高いお金で買わされる羽目になっていたと思います。


発車前に色々な事が起きたのですが、
列車は定時より少し遅れて発車。
しばらくは広大な平原を走ります。

しばらくすると、広い河原の大きな川を、
轟音とともに鉄橋を渡りました。

この時は地図も持っておらず、
どんなところを走るのか全く予備知識が
ないままに乗っていたのですが、
これはイタリア一の大河、ポー川の作った
広大な平野を横切っていたのです。
先ほどの川がポー川でした。

しばらくすると平野も尽き、
Tortonaという駅を過ぎると、
思いのほか険しい地形となり、
狭い山間を縫うようになりました。

アペニン山脈を越えるルートに差し掛かったのです。
途中からもう一つの線路も加わり、
狭い谷間を二つの路線が併走しています。
もう一つの線路はトリノからの路線の様です。

多くの私鉄が競って路線を確保している
アメリカでは良くあるのですが、
同じイタリア国鉄が経営しているのに、
狭い谷に二つの路線を走らせているというのは、
なんとなく面白いです。


そうこうするうち、住宅が密集しだして、
Genova Piazza Princlpe駅着。
しっかり時間は確認しなかったのですが、
ほぼ定刻の10時05分頃だったと記憶しています。

ここで、乗客が入れ替わり、我々家族四人も
一つのボックスに集まって座る事が出来ました。

このGenovaからいよいよ、Riviera海岸を走ります。
Genovaの街は、台地が海に落ち込む海食崖に沿って、
高級住宅地が連なっています。
進行左手にやや霞んだ青い海が見えているのですが、
これが生まれて初めて見る地中海です。

Genovaからしばらくは砂浜の海岸が続き、
列車は海からは少し離れたところを走りました。
駅に停車するたび、乗客が下車していき、
車内は次第に空席が目立つようになりました。



これは、どの駅か忘れましたが、
ホームに綺麗に花が咲いていて、
思わず途中下車したくなるような駅でした。


しばらく走ると、山が海岸に迫るようになり、
列車は時折、海岸のぎりぎりの所を走りました。


カーブがきついので、長い編成の最後尾が、
窓に顔を付けなくても見ることが出来ます。
レールが軋む音も聞こえ、
あまりスピードは出ていないようです。

海岸には色とりどりのパラソルが並び、
のんびりと日光浴している人たちの 姿が目に付きます。



7月の終わりの、世界的に有名なリゾートですが、
海辺は込み合うこともなく、のんびりとしたものです。
わざわざニースまで行かなくても、
どこかこのあたりの小さな駅で途中下車して、
そこで滞在するのもいいなーと思えてきます。


この様な景色が一時間以上も続き、
Milan出発時とはうって変わって、
閑散とした車内でぼんやり海を見ていると、
つい睡魔に襲われます。
うとうとするうち、国境の接続駅、
Ventimigilaに到着です。
もうお昼を回り、時刻は午後一時過ぎでした。


Niceへは、ここで乗り換えです。
EU統合でフランス・イタリア間の
パスポートチェックが廃止されているので、
フランスに入ったという実感が湧きません。

VentimigilaからNiceに向かう列車は、
小ぶりの青い塗装の電車でした。
ヨーロッパで電車に出会うのは珍しく、
大きな街の近郊の郊外電車ぐらいしかないのですが、
この電車も座席の配置は郊外電車そのもので、
リゾートを走る列車には似つかわしくない作りです。
17分の待ち合わせ。適当な待ち時間です。

乗り換え客を乗せ、定刻に発車しました。
各駅に停車し、地元の人が乗り降りを繰り返します。
途中Monacoを過ぎ、Niceの街が見えてきました。


Milanから6時間の列車の旅でした。



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